2月21日午後の大阪市会本会議で、「公立大学法人に係る中期目標変更案」が維新、公明の賛成多数で可決された。自民、共産は14日の都市経済委員会での反対を本会議でもつらぬいた。

 自民党・多賀谷市議、共産党・井上市議の本会議での反対討論を紹介する。

自民党・市民クラブ 多賀谷俊史議員の反対討論

統合のために巨額の費用は必要ない

 公立大学法人大阪の中期目標については、2019年の制定当初から、市大と府大の統合の目途を2022年度としていたことから、わが会派は反対してきた。今回の議案では、一歩踏み込んで「新大学を2022年度に設置する」とした中期目標の変更であることから、改めて反対を表明する。

また、キャンパスの再編や整備に取り組む旨も記載されており、森之宮の新キャンパスや既存のキャンパス整備も含め推計1000億円という巨額の費用となるが、キャンパス整備について(中期目標変更案に)具体的な記載がないことは大きな問題だ。さらに、新年度予算においても約5億円ものキャンパス整備のための基本設計費が計上される予定と聞いているが、本来なら、このような設計費用は中期目標の変更案とあわせて議論されるべきだ。先日、森之宮の整備用地を視察したが、周辺にはUR住宅があるものの、ほかは下水処理場やメトロ(地下鉄)検査場、元森之宮ゴミ焼却工場などで、ここにいきなり巨額の費用をかけて新キャンパスをつくるということが本当に良いことなのか、十分に検討されたのか、大いに疑問である。

大学を統合せずに、市大のままであれば、このような巨額の費用をかける必要もなく、そんなお金があるなら、大学の基幹教育整備や研究費に回すことができたはずだ。

また、特別区設置に関する住民投票が賛成多数となった場合、2025年1月には特別区制度に移行することになる。府に移管された現在の特別区民の負担について委員会で確認したところ、現在大阪市が負担している大学に係わる運営費交付金や施設整備改修などの費用を、特別区設置後も、財政調整財源により負担し続けるとのことであった。言い換えれば、市から大学に出資した約1000億円の財産が府へ移管されるうえに、特別区設置後、特別区民は大学に関与できないのに財政調整財源という形でお金だけ負担し続けることになる。まさにボッタくりバー以上(の悪行)ではないか。

さらに、府に財産を移管するというならば、移管時点での価値を市民に対して明らかにするべきであることから、大学の土地、建物の鑑定評価を行うべきだと主張したが、理事者からは特別区への移行に必要な手続きではないことから鑑定評価を実施する予定はないとのことだった。

「二重行政」や「広域行政」という  名のもとに、さまざまなものが府に移管されようとしているが、市民がその正確な価値を把握しないまま府に移管されてしまうのはいかがなものか。これらの財産は市民の財産であり、市長のものでも議員のものでもない、市民のものだ。市民に対して正確な情報を発信することは市長の責務ではないか。

また、出資による権利が府に承継されることによって、特別区に設立団体としての権利は無くなる。1000億円という巨額の投資に対して、運営費交付金は現在の水準のままなのかなど、重要な議論がなされていないまま、いわば議会のチェック機能がほとんど働かないまま、統合が進んでしまうことは誠に残念なことだ。

大阪市が負担してきた運営費や施設整備費などの財源は、財政調整財源の大阪府の配分割合、2000億円の中に入れこまれており、いわば大阪府への配分割合という形で市税が永続的に府に持っていかれることになる。しかも、この移管された財源を大阪府が大学のために使うとは限らない。現在でも大阪府は基準財政需要額を下回る運営費交付金しか支出しておらず、大阪府は市とは大学に対する思い入れが違う。大阪市が特別区となり大学の運営に口出しできなくなったとき、大阪府は財源はそのまま持っていきながら、大学の運営費を削減し、他の事業に回すことがあるのではないか。

以上のことから、今回の中期目標変更案には絶対に賛成できない。

日本共産党 井上浩市議の反対討論

「二重行政」論は破綻、「学問の自由」守れ

 いうまでもなく本議案は、「1法人・1大学」をめざすものである。「1法人・2大学」であれば、2つの大学は元のまま存続することになるが、「1法人・1大学」になるということは、長い歴史と伝統、実績を誇る大阪市立大学、大阪府立大学が廃止されることを意味する。「統合」の名で、両大学それぞれの歩みに終止符を打たんとすることには、まったく道理も大義もなく、とうてい賛成することはできない。以下、具体的に理由を述べる。 

 第1に、大阪市立大学と大阪府立大学の「統合」は、そもそも大学関係者の内発的要求ではなく、決して「二重行政」ではないからである。

2013年1月に公表された「新大学構想」では、「両大学ともに教育・研究水準などは国立の基幹大学につぐポジションをしめている」「公立大学の使命である地域貢献について(それぞれに)高い評価を得ている」と提言している。 同時に、「運営費交付金は公立大学法人後、急激に減少している」と苦言すら呈していた。改革の名のもとに「統合」議論を押しつけられた当初、大学側は設置理念や建学の精神、地域に根差す高等教育機関としての意義と役割を検証する過程においても、大学統合などではなく、基礎的研究に充実や研究者の養成などに対する行政の支援をこそ、内発的要求としていたのである。

 議論を重ねれば重ねるほど、当局は「二重行政のムダ」などとは言えなくなり、「大学統合によって一定規模の大学になる」「少子高齢化、大学間競争の激化へ対応できる」などと、「二重行政」論からの論点のすり替えと、統合理由の後付けに終始して、大学統合議論は今日に至っている。 

 第2に、「大学の自治」「学問の自由」をないがしろにするものだからである。教育基本法は、大学については「自主性、自律性、その他の大学における教育及び研究の特性が尊重されなければならない」とうたっている。2022年度の「開学さきにありき」で学部集約やキャンパス整備は後追いで進めるという逆立ちした統合スケジュールにも、大学統合議論に内発性のかけらもないことが現れている。「大学の自治」とは行政に対する自治であり、「学問の自由」とは行政からの自由である。

「統合」の強引な押し付けは、大学を行政に従わせる「統治」以外のなにものでもない。 

 第3に、都市再開発のために大学を利用し、キャンパス整備等に莫大なコストを費やそうとしているからである。もとをたどれば、副首都推進本部会議での「森之宮地域を民間デベロッパーが開発し、住宅や商業施設と一緒に学舎を建設、そこに大学が入居すればよい」という意見が発端となり、森之宮にメインキャンパスを整備するという方針が打ち出されたのである。大学の将来を真剣に考えてのこととはとても思えないが、この点からも、主役である大学関係者からの発信や切実な要求であることが、いささかも伝わってこない。

 以上、3点にわたって反対理由を述べたが、「大学の自治」「学問の自由」をないがしろにし、「統治」の発想で大学の将来を行政が強引に決めてしまうようなやり方は決して認められない。

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