消費税は預り金ではない

 多くの企業は、利益の減少あるいは赤字のために、法人税の負担は少なくなっても、多大な消費税の納税に苦労しています。消費税は景気の動向に左右されない税金であるといわれていますが、私の経験では、事業の縮小過程では在庫調整のために仕入を抑制し、消費税の仕入控除額が減少するため、単年度の個別企業においては消費税の納税が増加する傾向があります。事業の拡大期には売り上げの増加以上に仕入が増加するため比較的納税が少なく、売上縮小期にはこの逆の現象が現れるのです。

 いま税務署では消費税の滞納を減少させるため、ほかの税目をさしおいても、消費税の徴収に躍起になっています。ポスターなどでも「消費税は預り金」というキャッチコピーで、預かったものを横流しするのはケシカラン風の宣伝です。

 しかし、まてよ。消費税は「預り金」ですか。税理士の藤田康雄さんは「消費税は納税者からの預り金」と新聞に書いた国税庁長官にその取り消しを求める「請願書」を提出し、また、国税庁がホームページに「消費税は預り金的性格を有する税」と記載していることについて、その税法上の根拠となる文書の開示を求めました(全国商工新聞より)。

 「国内において事業者が行った資産の譲渡等には、消費税を課する」(消費税法4条)−つまり、納税義務者は国内の事業者で資産を譲渡したときは消費税を納めなければならない(消費税法5条も)ということです。消費者から消費税を徴収したり、それを預からなければならないということは、どこにもうたわれていないのです。事業者にとっては、消費税の負担のみが、税法上うたわれているだけであり、この負担をどういう形でねん出するかは法律は節介をやいてくれていないのです。その点、消費税の「益税」論も根拠がありません。事業者と消費者との反目、中小零細事業者をスケープゴートにする政治宣伝です。(2002.5)

 かつてなかった消費税大増税が企画されている。莫大な滞納のうえに消費税を上げれば税収が自動的に増えるというのも、大いに怪しい。(2012.7)

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