上場企業の株主総会が一斉に開かれ、マスコミ的には各種のスキャンダルを抱えた企業の総会の様子が報道されました。今回、前代未聞の出来事は、総会後、退任した前社長が詐欺の容疑で逮捕されたこと。佐世保重工(SSK)の助成金不正受給事件です。
この助成金、労働者の能力開発のために教育訓練を行った場合に、経費の一部を国が助成しようというもの。前社長らはこの制度を利用しようと考え、下請け業者らに社員を出向させ、そこで教育訓練を受けたような内容の書類を作り、不正に助成金を受け取っていました。この犯罪の手段に下請け業者が利用されていました。下請け業者には、出向者の名簿だけが送られてきただけで、顔を見ることもなかったといいます。そのうえ、架空の出向者の給料分について手形を切らされていました。
今回の事件が明るみに出たのも、これらの業者の内部告発でした。仕事を一方的に取り上げられるなど、SSKの横暴に怒りの声をあげたのです。雪印やSSK、日本を代表する大手製造業のモラルも地に落ち、粉飾決算に目をつむって監査法人が告発されるなど、我が国の経済も「空洞化」から「虚構化」に転落してしまうのでしょうか。切り捨てられようとする弱者からの告発は、まだまだ続きそうです。(2002.7)
このような「ムラ社会」の破たんは原子力ムラにおいて、民族的な破局を招いたといえないか。(2012.7)