企業の経理をお手伝いしていると頭を悩ませられるのは、現金管理の問題です。現金残高が合わない、現金が異常に多い、逆に現金がマイナスである、という問題。もし、使用人に現金管理を任せているなら、刑事告発にもなりかねない問題ですが、夫婦で社長と経理、代取と監査役を務めているような中小企業では、起こりうることです。領収書・賃金台帳を点検してもわかりません。制度的にこのようなことが起こらないようにするしかありません。現金管理は相互けん制が不可欠です。出金担当・入金担当を別々にする、レジの残高は二人で確認する、などの決まりです。横領事件はほとんどカネの管理をひとりに任せることから起こっています。そういう管理がされているのかが監査の大事な内容のはずです。
ある監査を受けた時に、この点を縷々説明したのですが、領収書の日付にこだわる。これこそ相互けん制のあかしだと説明しても理解してもらえない、ほとんどすれ違いの論議に終始しました。以前、損害保険関連の仕事をしているときには「大蔵検査で忙しい」ということをよく聞きました。検査期間中は支店一丸となって代理店を含めて対応するため、残業が続きます。その対策のため、大蔵省の玄関口に会社の見張りがいて、検査団がどの支店に向かうのか尾行するということも聞きました。それだけの検査をしても、「9.11テロ」の保険金の支払いのために、この会社はつぶれてしまいました。監査は緊張感があって当然ですが、的外れな監査も罪なことだと思います。(2003.11)