イラクでアルカイダの一派を名乗る武装グループに拉致された日本の青年が殺されました。テレビで何度も流された青年の「すみませんでした。日本に戻りたい」という言葉が忘れられません。
日本という国は、先の戦争以来、人間の命というものを一番大事にしてきた国だと誇りにしています。日本人が海外で人質にされた事件では、これまで『人命第一』に考えてきました。そのために、超法規的な措置もとり、政府の高官が身代わりになったこともありました。しかし、今の首相になってから、この「国是」が変わってしまったのでしょうか。武力をもたない国が「軍隊」を外国に出してしまったこととかかわりがあるように思います。「テロに屈しない。自衛隊は撤退しない。」真っ先に口に出たトップの言葉。大量破壊兵器は発見されず、フセインとアルカイダの関係もなかったことも、先端を切った米国自身が認めています。大義を失った戦争にいつまで付き合わなければならないのでしょうか。
青年の両親は「イラクの人たちに一日も早い平和を」と呼びかけました。日本人であれ、イラク人であれ、米国人であれ、人間の命は尊い。「血を流せ」と鼓舞されたくない、戦死者を出したくない、出されたくない。そういう国のはずです。(2004.11)
戦後、ひとりとして日本の国によって殺された者がいないことは誇るべきことだと思う。(2012.7)