八尾市の北部・近鉄八尾駅周辺が様相を一変させています。コクヨ八尾工場の広大な跡地にイトーヨーカドーの「アリオ八尾」が昨年12月にオープンしました。スーパーはもちろん、衣料品の専門店・飲食店・シネコンを入った、まさにこれまでの「小売業」の枠を破った「大型商業施設」といえるものです。それ以上に、まず客が驚かされるのは、従来八尾駅前の顔とも思われてきた西武百貨店八尾店との協調ぶりです。
八尾駅を降りた客は、西武八尾店のなかに新たに作られた通路を通り、一度も地上に降りることなく、アリオに通じる回廊を通って入店することができます。まるで客は西武とアリオだけでひとり(ふたり?)占めしようとするかのよう。アリオの店舗も西武とできるだけ競合しないよう調整されているようです。従来、大型スーパーの進出ともなれば地域商店街の反対運動もあり、地元の商店のテナント出店も配慮され、また、スーパーの集客力に期待して、地域も活性化するなどのメリットも考えられたものです。しかし、アリオ八尾では大資本の調整(親会社イトーヨーカドー主導の)はあっても地域を考慮した姿勢は見られません。出店しているお店も関東のものが多いようです。
近鉄八尾駅の周辺は、八尾のスーパー・小売業の盛衰を物語る地域です。私が新婚時代を過ごした地域でもありますが、新居の近くにあった西友催事館は今は巨大なマンションが建ち、スーパーサカエはトポスに、そして、この地域のスーパーの雄であったマイカル八尾店はアリオ出店を機に撤退しました。「規制緩和」は結局、庶民の懐をさみしくさせた上に、縮んだ市場を大資本の草刈り場にしていくのみなのでしょうか。(2007.2)
写真は最近(2013.2.17)のアリオ八尾です。「Reborn」中で閉店・改装中のテナントが目立ちます。
西武百貨店八尾店は2017年2月に閉店することを発表しました。