中小企業では、機械などについては銀行借り入れをして設備する以外に割賦(ローン)やリースを利用するケースが多いと思います。借入をするとなれば銀行の審査も手間ですし、保証などの「枠」も限られています。そこで、機械の販売会社が主導して信販会社やリース会社からローンやリースを契約することになるのですが、実際の設備の使い勝手に差異がないため、事前に相談がなければ会計処理にとまどうことが少なくありません。購入・割賦はいずれも設備の所有権は買い手であり、銀行や信販会社から借り入れをして購入したものですが、リース契約は、基本的に設備の賃貸借であって所有者はその使用者ではありません。しかし、リース契約はその設備の購入費用・リース会社の利益・金利分を含んでリース料が設定されており、賃借人(使用者)のみがその設備を使用し、修繕・保険料などの維持費も負担することになっています。そのためリース期間の中途での解約などは実質的にできない仕組みです。リースの対象も建物や内装といった、ほぼその人専属で他の人に貸しかえるとは想定しにくいものにも拡大しています。こうした実情から、以前よりリース契約とは実質的な売買契約であるとの指摘がありました。
事実こうしたリース契約(ファイナンスリース)は会計基準では「原則売買」とされ、税法上も特別仕様の設備やリース期間終了後に所有権が移転するもの、リース期間が相当に短いものについては、課税逃れを防止するという観点から売買とみなす処置がとられてきました。しかし、今年の4月以降の契約からは、会計基準においては設備の所有権が移転しないリース(所有権移転外ファイナンスリース)について、これまで「例外」として認めていた賃貸借処理を廃止することとしました。また、税法上も会計基準の改正に合わせて売買取引とみなすことになります。ただし、中小企業会計基準では売買取引を原則としながら、従来通り賃貸借処理も認められています。(2008.5)
このように所有権移転外ファイナンスリースで売買取引とされたリース資産はリース期間で残存価額ゼロとして定額償却することになり(リース期間定額法)、負債として「リース債務」を計上することになります。中小企業の場合も賃貸借経理したリース料は減価償却の経理をしたものとみなされますので特別な調整はありません。消費税の取り扱いは売買取引とされた場合には、リース料の総額を取得価額にしてリース資産の引き渡しを受けた事業年度の仕入税額控除の対象となります。