
大震災・福島原発事故を経験して「核」「放射能」というもののとらまえ方が変わったように思います。

被爆者を親に持つ身にとっては、放射能の遺伝的影響は全くないとは言えないけれども、それはごくごく微々たるものだ、自然放射能や核実験による影響もあってそれはとるに足らないものだと思うようにしてきました。
放射能の影響は爆心からの距離で測られる、ということを私たちは長く思い込まされてきました。被爆者の認定もこの基準が優先されてきました。しかし、入市被ばく、二次被ばく、「黒い雨」など直接に被爆しなくとも多くの放射線障害が認められています。「福島事故」の件も最初は同心円で影響を考えたため、退避方向を誤り、大量の被ばく者を生み出してしまいました。放射線研究の最先端と思われているABCC(原爆傷害調査委員会、のちの放射線影響研究所)は、米国が軍事的視点で作ったモノ。多くの被爆者をモルモット扱いしてきました。それも原爆の直接的影響を重視したため、いわゆる低線量被爆や内部被ばくの研究は少ないといいます。事故直後の「広島・長崎」の「研究者」からの発信は放射能の影響を少なく評価する見方でした。また、この遺伝的影響については無いに等しい。今後、「被ばく者」の視点から、その責任追及や救援・救済を考えてもらいたい。
写真 昨年8月22日〜24日、陸前高田(左)・大船渡市にて。東北のがれき処理についても思いは様々ですが、被曝者に寄り添う視点も大切です。(2012.8.20)