生命保険契約の見直しを

 「金融機関との付き合い」に入るのかどうか、ちょっと疑問ですが、「つきあい」で生命保険に加入する人(法人)もいらっしゃるので、ご指摘しておきます。個人の場合は、所得税の計算上、生命保険料は必要経費にならない、「生命保険料控除」の対象である、ということです。問題なのが法人が契約する生命保険です。保険の外交の方は「個人の契約はいっぱいなので会社(法人)で」という勧め方をされます。個人のリスクを法人がカバーするという錯覚を起こしがちですので、法人が契約をする場合、法人にとってどういうリスクがあるのかよく理解されて検討されることをお勧めします。

 今回、生命保険料に限って経理処理の仕方を確認しておきます。以下、すべて法人が契約者で、かつ、被保険者(災いが起こるかもしれない人)が役員または使用人である場合を前提としています。

1.生命保険の種類

 生命保険の種類は、各社独自のニックネームを含めて多数に上りますが、経理処理上は、以下の3種類に分けられます。

@ 養老保険

 被保険者の死亡または生存を保険事故とする生命保険(死亡保険金または満期保険金が出る保険)

A 定期保険

 一定期間内における被保険者の死亡を保険事故とする生命保険(掛け捨ての保険)

B 傷害保険

 上記の保険に傷害特約を付与した契約がほとんどになっています。

2. 経理処理の基本(法人税取扱通達 基本通達9-3-4〜6)

@ 傷害特約部分の保険料は損金計上(費用になる)

保険料のうち傷害特約部分は、損金計上されます。ただし、特定の役員・使用人のみを保険給付の受取人としている場合は、会社が支払う特約部分の保険料はそのものに対する給与(損金)となります。

A 養老保険は保険受取人が何者かによって取り扱いが異なります。

生存保険金・死亡保険金ともに受取人が会社の場合                全額資産計上

生存保険金・死亡保険金とも被保険者または被保険者の遺族          給与

生存保険金の受取人が会社、死亡保険金の受取人が被保険者の遺族   

 保険料の1/2は資産計上・1/2は損金計上

B 定期保険は原則損金計上(ただし長期平準定期保険は例外)

保険金の受取人が会社であるか、遺族であるかを問わず損金となります。

3. 長期平準定期保険の場合(個別通達昭62)

 定期保険のなかには非常に長期の保険期間に定額の保険料を支払うものがあります。そのうち、保険期間満了時の被保険者の年齢が70歳を超え、かつ、加入時の被保険者の年齢に保険期間の年数の2倍を加えた年齢が105歳を超えるものを「長期平準定期保険」といいます。この保険は加齢するほど保険事故の可能性が増すことから保険期間の前半部分に前払いの保険料が含まれているという考え方により、保険期間の6割の期間の保険料についてはその1/2を資産計上(前払い保険料)し、その資産計上の累積額はあとの4割の期間に取り崩して損金に計上することとされています。

4. 契約書・プランを確認しよう

 保険契約の際は、保険が補償しているものは何か、経理処理についてよく確認しましょう。損保系の会社が生保を扱い、生保系の会社が損保を扱うことがあります。保険のなかには「預金」とほぼ同じもの(「資産計上する」もの)があることを知っておきましょう。保険の受け取り(会社)と被保険者(役員・使用人)が異なる場合には後々のトラブルがないよう注意すべきです。また、会社の契約と役員などの個人の契約がごちゃ混ぜになって保険料が支払われているケースもよく見られます。保険外交員主導の契約は見直してみましょう。契約の前に、経理処理の面からでも保険の中身をよりよく理解することもできますので、税理士に相談されたらいいと思います。

 

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