このHPで「大阪市立大学の統合問題を考える」というページを作っています。「市大・統合問題」は、市大にかかわる大学人・在校生・これらのOBにとって、否、広く学問研究に携わり、またはその果実を受け取るべき国民全体にとって、重大事であると考えたからです。
「統合」を推進している関係者の声からは「アジアでも強い大学」「アジアの大学間競争に打ち勝つ」「学長のマネジメントを阻害しているのが教授会」「教授会による運営をなくす」(以上、橋下市長)、「大阪の成長戦略の大きな柱」(上山・府市統合本部特別顧問・新大学構想会議委員)「大学は成長戦略の一つの鍵」(余語・府市統合本部特別顧問)などと競争原理をあおる言葉に満ちています。競争に勝ち残るにはトップダウンの「マネジメント」というわけです。そのトップに立つのは橋下市長にほかなりません。「統合」推進の発火点は彼でした。
しかし、大学の価値というものは、こういうモノサシで測られるのでしょうか。私が入学したころは「大学で何を学ぶか」とよく議論したものです。「大学の自治」「学問研究の自由」とかを考えました。市大の戦前の歴史はこの大切さを物語ってくれます。滝川事件や大阪商大事件です。「自治・自由」を守るために命を落とした先輩もいたのです。その反省に立って大阪市大は出発したはずです。
今日の「統合」問題はどうでしょうか。教授会自治さえ否定し、傍若無人に押し入って、研究内容にさえ口を出してはばからない勢いです。この流れにたいしてOBとして、出身校の「自治・自由」を応援する立場から発言し、そのスペースを提供したいと思いました。(2012.9.12)