大阪府・大阪市会の議決を経て改めて設置された、大阪府市新大学構想会議が2度の会議で<提言>をまとめました。私はこの<提言>を了承した会議を傍聴することができました。
条例上の審議会ではなかった旧構想会議が6月に発足し、9月までに6度の会議(このうち府・市大へのヒアリングが4回、商議所との意見交換が1回)が開かれていました。この間、会議の違法性の疑義が出て休止しており、私としてはその公開性に大きな疑問を持っております。この傍聴の実現も、ほとんど偶然の域でありました。実際、傍聴者は私含めて3名。報道関係者は30名ほどだったでしょうか。また、第1回会議の内容について、当局のHPへのアップはなく、報道があったかどうかも私は知りません。(注)
まず、会議は事務局から<提言>「3、改革の基本方針」「4、新大学構想(案)」の説明がありましたが、会場で手渡された資料の重点の指摘以上のものはなし。「第1回」の会議で説明済みという0〜2の「統合の意義」「現況」「現状認識」の説明は省略。40分で終わり。矢田会長が20分、おもに教学体制等について府・市大の体制の相違からくる取りまとめの考え方を説明し、約25分間、委員間の意見交換をしました。2時間の予定を30分以上残して<提言>を了承し、会議を終わりました。
今回の会議では両大学の学部・学域の再編・統合の行方、とくに新設学部について苦心した旨の矢田会長の説明がありましたが、「現状維持」とされる経営・経済・法学部の教員数が「足らない」と認識していながら、その改善方には触れないのには不思議に感じました。
議論の中では、ガバナンスの強化のために、学長・理事長の権限の強化が強調されました。「外部の力・設置者が理事長の権限をサポートする」「縦割り組織の改革を理事長のガバナンスで」という発言が続きました。また、「第1回」で論議されたことでしょうが、この統合の意義について「処方最適・縮小均衡の考え方から統合を積極的にとらえる動きが出てきた」「人事を集中させるのは画期的な改革。国立大・中央省庁の再編のイメージが描ける」などの発言に象徴されるように「都構想」を奇貨として「ガバナンス」をてこにして、教員・職員・学生を縛ろうとするものではないかという印象を受けました。
このガバナンスを前提に「0、大学の改革のさきがけをめざして〜府立大学と市立大学の統合の意義〜」を読み直してみると、どのような大学像が描けるでしょうか。<提言>には教職員、とくに学生の姿がまったく見えません。「1法人1大学による新大学のスタート」の構想の是非について、わが国の大学制度についての広い視野に立った両大学内外の活発な議論が望まれます。
(注)追記
「第1回」の会議の資料は大阪府のHPにアップされていました。しかし、この中には「0、大学改革の〜」は掲載されていません。矢田会長や「第2回」の議論の中で敷衍されたということでしょうが、この構想会議の狙いが読めて興味深い。大阪府HP 大阪府市新大学構想会議へのリンクはこちら