こともあろうに国会でとんでもない議論が展開されました。維新の会の西田某代議士が「低線量セシウムは人体に全く無害」「強制的な避難は憲法に違背」と珍論を展開し「避難の全面解除を」と政府に迫りました。さすがに政府側も同調しなかったものの、放射能・放射線に関するその害悪についての過小評価が目にあまります。事故直後には「放射線はレントゲン撮影程度」という俗論も流れました。2年を経て、原発廃炉の運動がかつての勢いほどではなくなったのを見たのか、原発再稼働の世論誘導が進行していると思えてなりません。
もう一つ私が注目したのは放射線影響研究所理事長の発言です。先月(2月)あるシンポジウムで「被爆者に寄り添った研究はできないか」との問いに「研究は中立的・独立的でないと信頼されません。被爆者の立場に立った研究をしなさいっておっしゃるんだったら…できません」との答え。「黒い雨」は健康に影響しなかったというのが氏の結論でしたが、原爆を落とした側が関与している研究所が「中立・独立」を言い立てることのいかがわしさを、感じざるをえません。被爆者は彼にとってはモルモットにすぎないのでしょうか。
かたや原発推進、かたや核戦略下の、発言として同根と私には思えました。(2013.3.25)
(追加)3月27日、広島県被団協(金子理事長)と「黒い雨」原爆被害者の会は放影研に公開質問状を提出しました。「なぜ被爆者の立場に立った研究ができないのか」など4項目。放影研は1か月以内の回答を約束したといいます。この報道も地元メディアと「赤旗」だけというものいかがなものか。
4月11日、放影研は県被団協らに回答しました。しかし、「正しい計画や目的に基づいた研究に対してでなければ公開できない」として「黒い雨」に関するデータの公開は拒否しました。