このブログにも資料として、リンクされていますが、大阪市の「新大学構想<提言>(案)」なるものに、あふれているのが、グローバル化、ランキング、競争、ガバナンス、選択と集中、マネジメント、PDCAサイクルの定着といった、経営用語です。結局、大学というものを、ただ単なる経営体に貶めるものです。これは、国立大学が、独立行政法人化で、どうなっていったか、それを見て、「改革」と称して、「ヒト、モノ、カネ」を牛耳ることにより、例えば、日本維新の会が、大阪市の与党であり続ける限りは、与党の政策実現のための一機関になり、学問の研究や教育の場ではなくしていくことです。特に、ここ最近、官僚が好んで使うような、PDCAサイクルという言葉、大変気になるのですが、Plan,Do,Check,Action、この頭文字ですが、計画、実行、評価、改善でしょうか。企業の営業部などが、販売計画、計画に基づく販売活動、活動の点検、点検に従った改善となるそうです。(元市大生の通行人m.s.です。)

Plan、市長が、見るでしょうか。大学に丸投げになります。高い目標を掲げても、Do、できなければ、低い評価になります。査定が低い、これでは、ノーベル賞を取ったような研究者が、心配している通りの、じっくりとした研究など、できないですね。Check、専門家でしょうか。「一番でないとだめですか」そんな人では、基礎的な研究が、時間がかかることに、理解を示すでしょうか。Action、少しでも、実行できていない部分があれば、「改善にほど遠い」となれば、努力は、水の泡になりかねません。結局、民間のとか、経営感覚と言ったものは、大学には、ふさわしくないというわけです。国立大学の法人化で、失いかけている、大学の「生命」ともいえる、「自治と民主主義」が、市大と府大の統合で、同じ道を歩んでしまうということになります。これは、ただ単に大阪だけではなく、日本の大学の将来のかかった、大問題になっているのではないでしょうか。大学を、経営の理念から救い出し、学問の府に再生させなければ、市大も、府大も窒息死させられるのではないでしょうか。参考文献として、雑誌「季論21」バックナンバーですが、2010年冬号(第7号)小特集「大学で人は育つか」のうち、山口和孝氏の「国立大学法人ガバナンスの構造と本質」池内了氏の「法人化以後のの国立大学」http://www.kiron21.org/kiron.php?8 と、「日本の科学者」2009年10月号 特集「大学・高専法人化の現状と打開策を考える」、2012年3月号 特集「国公立試験研究機関の現状と法人化の10年」 5月号 特集「学問の継承と基礎科学の危機」、11月号 特集「新局面を迎える「大学改革」政策」等が、役に立つと思います。いずれも、本の泉社から出版されています。http://honnoizumi.shop-pro.jp/?mode=cate&cbid=980003&csid=0&sort=n
(2013.5.3見出しは仲本 写真は学術情報総合センター、右手に旧法学部棟)