既報のように6月末にロシアの沿岸地方ウラジオストク・ウスリースクを旅してきました。ウラジオに1泊、ウスリーに2泊の短いものでしたが、非常に印象深い旅行になりました。そもそもこの地方は日本人にとっては一般に長くなじみの薄い地方でした。現在、航空機の直行定期便は成田からの週2便で、ロシア旅行自体ビザの取得に困難を伴うという事情があります。今回、娘が9カ月余りの当地での日本語教師の勤務を終えて、帰国するということがなければ、訪れる機会もなかったことでしょう。ウラジオは、昨年APECが開かれ、国際都市として大きく変貌しようとしていました。ホテルの建設が進められており、ビザなし渡航やエルミタージュ美術館の分館建設が検討されていると聞きます。日本からのツアーもこの夏からたくさん企画されているようです。

 私以上の世代にとってロシアについてはついついソ連といってしまうものです。いわゆる社会主義の時代が終わって四半世紀になろうとしています。当地はすっかり市場経済になっていましたね。もっとも統制・計画経済の実際を知らないので比較しようもありません。市の中心部の広場でのフリーマーケットや、日本の縁日のようなテント仕立ての大きな市場を郊外のバスターミナル当たりで見ました。商品が湧き上がっている感じで種類も量も豊富。市街地の商店は石作りのヨーロッパ風のビルの中にあり、扉を押して覗いてみないと何を売っているのかわかりません。厳冬のロシアでは、春になって青空市場がいっせいに芽吹いたのかもしれません。

 娘の同僚の先生に「フリーマーケットは生産者が直接売っているのか」「コルホーズはまだあるのか」「税金の計算はどうしているのか」とかやや的外れな質問をしてしまいました。彼女の年齢(30歳前後か)からするともう市場経済が当たり前ですよね。ただ接客の面ではわれわれの感覚からはまだまだだと感じました。ロシア人の感覚では、誰に対してもニコニコしているのはちょっと頭がおかしいのではないか、という受け止めらしいのです。笑顔を売る、なんていうのはありませんでした。スーパーマーケットでも黒い制服を着た警備員が客の動きに目を走らせていました。ホテルの設備は普通でしたが、細かいところを見ればトイレットペーパーが固く、残り少なくセットされていたり(ロシア人は量が少ないのかも)、シャワーの留め金が壊れていたり、宿泊料のわり(外国人は高いのか)に行き届いていないことも。また、やたらと人が多いのに気づきました。市街地のバスの乗車賃は定額なのに車掌がいる、小さな博物館に受付け・学芸員・監視の人(見学者についてくる)がいる、ウエイトレスが多いのに掃除のおばさんもいる、客がいるのに売り子がカウンターでぺちゃくちゃしゃべっている、など。雇用が守られるようにしているのか、と考えたりもしますが、物乞いをするホームレスもたくさん見ました。冬はボイラーの近くで過ごしていると言います。抑圧的な政治経済体制を数世代過ごしたロシア人は、今後どういう社会を形作っていくのか、興味深く見守っていきたい。

 ロシア人はやはり人それぞれですね。総じて親日的と思います。気さくに明るく声をかけてくれたロシア人もいれば、何か厳しい口調でものを言われたこともありました。ロシア語しか通じないのでやり過ごしました。ウスリーの1泊目の夜、青年の日とやらでイベント会場近くの若い男女がいっぱいのレストランに入りました。真ん中の席が空いていたのでウエイトレスを待っていたところ、ウエイトレスがこの席はだめだと腕をクロスする。促されてカウンターの席に着きましたが、理由がよくわかりませんでした。妻は「差別じゃない?」という。隣の席のロシア男が「中国人か韓国人か」と聴いてきたのが心当たりですが、外国人が真ん中に居座るのは彼らにとって不似合と感じたのかもしれません。カウンターのバーテン青年はファンキーでしたが。

 この地方は中朝国境に近く、ウスリーには陸軍、ウラジオには海軍の基地があり、私もそういった施設にカメラを向けたりするのは控えました。戦勝記念碑・戦没者慰霊碑は両市とも立派なものがありました。主に対独戦を記念したものです。古くは日露戦争・シベリア出兵、近くは中ソ国境紛争があり、戦争が身近なのかもしれません。帰ってから聞いたのですが、ウスリーにはシベリア抑留者の慰霊碑があるそうです。そこに行けなかったのが残念です。2月の北朝鮮による核実験は当地から300キロほどの距離で行われました。放射能の危険を娘には伝えましたが、当地ではあまりニュースにはならなかったようです。領事館からは邦人向けにメールで連絡がありました。

 このようなツアーでない外国旅行は、なかなかできるものではありません。その国の人情や生活の一端を感じられて幸せでした。そして、娘を無事に返してくれた厳寒の街ウスリースクの大学関係者・市民の皆さん、ありがとう!スパスィーバ!

(写真はウラジオ市内のキオスク・極東連邦大学ウスリースク校)

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