第4回新大学構想会議は「新大学のガバナンス」を主な議題として、開かれました。なかでも理事長と学長の分離、教員の人事(評価)が議論の中心でした。
「新大学」では理事長と学長の分離が提案されており、理事長は設立団体の長が任命するとしています。学長の選考については現在市大で行われている「意向投票」を廃止し、学長選考機関で推薦する者を理事長が任命する、というもの。結局、府市長が任命する理事長の権限が大きなものとなります。
委員から学長の任期に触れていないことについて問われて、矢田会長は「上の方と調整できていない」と述べ、「設立団体の長の任期とどう連動するか」「選挙結果で大学が揺さぶられる」と懸念を表明しました。
「全学意向投票の廃止」について、「学内部局間、キャンパス間でのしこりの原因を取り除く」ことを理由にしています。現在市大で行われている学長選考における、市長の介入の論理とは異なる理由を挙げたことに注目しました。しかし、政治介入を事実上認める「ガバナンス」をすすめながら、大学の自治・学問研究の自由をどう確保するかという視点がまったくありません。そもそも「自治」「自由」という語彙すらない。
前回の第3回会議では、「その他」として「ガバナンスと役員体制」について府市長から議論を要請されたものの、両大学の現行制度の比較検討に終わっていました。今回、市大の学長選考をめぐって意向投票をやめさせるという「市長指示」に何らかの援護射撃があると私は予想しましたが、構想会議もさすがに現状の介入に手をつけることまではできなかったものと思います。それだけに市長の異常な態度と見ることができます。
また、大学の改革は「国大協という巨大な政治組織」のもとでは国立大では進まない(矢田)と、この「大阪モデル」(新大学案<素案>)を全国に広げる期待をにじませた会議になりました。(仲本)