11月8日に開かれた大阪市議会決算特別委員会で、井上浩議員(共産党)は大阪府市大学の統合問題を取り上げ、橋下市長の認識を問いただした。
井上氏は、市大への財源措置は学生一人あたりの単位費用などを計算根拠とした基準財政需要額をもとに、国が大学を管理するための経費を地方交付税の一般財源として交付しているものであることを、市の担当者の答弁を受けて指摘した。また、市長は地方交付税不交付の東京都の首都大学東京と府市大との単純比較はすべきではない。しばしば市大・府大に200億円をつぎ込んでいる旨の発言をしているが不正確ではないか、と追及した。
この指摘に対し、市長は、自治体は身の丈に合った施設をもたなければならない、大阪で200億円の税投入をして公立大学をもつべきなのか、首都大への140億円に対して、府市大に200億円の税投入はできない、と答弁した。
さらに市長は、この差額60億円を「住民サービスに振り向ける」という自身の発言について、どこに振り向けるのかという井上氏の問いについて答えられず、「税金に対する感覚は驚愕。もっと勉強しろ」と逆ギレ。井上氏は「(市長は)根本的な理解がない。誰でもわかるスリカエ」と反論。統合計画はただただ経費削減が先にある。市大は現役世代の知的投資・未来への投資である。本来大学の統合は大学の内発的な要求によって進められるべきであると指摘した。
市長は、どこかで抑制しなければ財政の均衡は図れない、ほかの政令市や基礎自治体でどこまで大学に金を出しているのか、内発的要求だけで大学は動くものではない、と発言。井上氏は、両大学の特長が統合によって失われる恐れがあり、現在でも予算と教員の削減のなかで現場の工夫により維持されているが、学界における評価は低下してきている。もっと大学関係者や学生の声を聴くべきだ。政令市のある11都道府県のなかで国公立大学数は大阪が下から3番目。市大は大学教育を受ける機会を提供する役割を立派に果たしている。統合という名の大学リストラはやめるべき、と統合問題に関する質疑を締めくくった。(仲本)2013.11.9