10月12日、自民党大阪府連大会後、知事・市長選挙の候補者・栗原貴子氏と柳本顕氏(いずれも無所属)と中山泰秀府連会長が記者会見をおこない、記者の問いに対して大学問題について発言ました。(右は同時に発表されたマニュフェストの一部)
動画は→こちら 大学問題については9分50秒から13分40秒の間です。
この会見について当「考える会」世話人が柳本顕さんに真意を伺いましたので、ご紹介します。
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柳本 顕様
私は「大阪市立大学の統合問題を考える会」の世話人の者です。
柳本さんは会見で、大学統合について問われ、大学のランキングでも規模でも優位な市立大を軸に統合すると述べられたということが話題になっています。私は市大の卒業生として、府大との統合に反対し、卒業生や学内外の関係者と連携をとって、集まりや宣伝、署名運動等にとりくんでいます。
大阪市大は大大阪の関一市長が大阪発展の基本施策の一つとして位置づけ、大阪の学問・文化の重要な拠点として役割を発揮してきた、130年にわたる歴史、伝統をもつ日本で最初の公立総合大学です。私たちにとっては大切な誇りです。大阪府大もそうだと思います。その大学を橋下市長・維新は「二重行政のムダ」と喧伝します。9月の市大のシンポで帝塚山学院の薬師院教授は「大阪に公立大学が二つあるというのを、大阪に公立大学が二重にあるというのがサギ師(橋下さんのことです)」、藤井教授「サギ師はまず大学をつぶしにくる」。失礼ながら、共感できました。
大阪の高等教育はいまでも学生数が人口100人当たり2.33人。東京4.87人の半分以下。進学率は近畿で京都、奈良、兵庫に次ぐ4番目。人口100万以上の大都市のある11都道府県の国公立大学数は、大阪は阪大、教育大、府大、市大の4つ。これが3つになると、宮城3、埼玉2と本当に最低クラス、西日本の経済・文化の拠点とはほど遠い恥ずかしい水準です。比較的安い学費で一定の水準の大学が減ることは大阪の受験生に不利益、大阪の受験生が他県に進学することは大阪の不利益です。
橋下市長は、市大、府大に税金をそれぞれ100億円余投入している、統合すれば節約できるといいます。私たちはそうは考えません。国の市大、府大への基準財政需要額は各100億円余。自治体の税収分が差し引かれ、実際の地方交付税のうち大学分がいくらかは不明ですが、少なくとも大学がなければ算入されず、その分が減るだけです。また多くの学生、教職員を抱える大学の経済・税収効果、研究や卒業生の貢献も算出すべきです。
橋下市長の指示に基づき大学が作成した市大・府大の統合計画は、キャンパスの一体計画なし、財源不明確など具体性に乏しく、これで期限を切って推進するなど無責任の極みです。もともと大学の内発的要望ではなく外からの押しつけ、大学運営についても定款変更否決にもかかわらず外部委員押しつけを強行、自由な学問研究環境が損なわれつつあると思います。そういうなか教職員のみなさんは、全国でもっとも切り下げられた運営交付金に青息吐息しつつよく奮闘し、一定のレベルを維持されていると思います。行政の支援が望まれます。無責任な統合でいうと、府大と統合した大阪女子大のかけがえない上方文化研究が途切れました。
大阪には市大、府大の関係者が少なくありません。先の堺市長選では、竹山市長とも懇談の席をもち、府大の関係者といっしょになって、私たち市大の関係者も、堺守れ、府大守れで奮闘しました。5月の住民投票でも、大阪守れ、大学つぶすなでがんばりました。市大、府大の学生、卒業生は大阪の二つの公立大学の存続発展を願って運動しています。
そういう経過のある大阪の2大学の統合問題を、選挙で性急にとりあげ、大学関係者と無縁に方向づけするようなことは、プラスにならないどころか、数多くの関係者のモチベーションを冷やすことにならないか危惧します。
これらのことは柳本さんにとっていわずもがなのことだと存じますが、絶対に負けられないたたかいで、気になることは失礼でもお伝えしておいた方がいいと思い、書かせていただきました。
10月14日
(柳本さんよりの返信)
お世話になります。
統合ありきではありません。府大をなくすことを前提としているわけでもありません。
現在の統合ありきの状況から、改めて新大学のあり方について「大阪会議」なども活用しながら議論を進める方針である…という受け止めをして頂ければ幸いです。
結果として、大学が二つ残ることもあり得ます。
ただ、国の大学改革などの流れも受けつつ、府大も市大も大きな転換期を迎えているという認識を持つ必要はあると思っております。
イロイロご意見があることは承知しておりますが、一歩踏み込んだ表現も時には必要と考えております。
宜しくお願い致します。
10月14日 大阪市会議員 柳本 顕
柳本 顕様
お疲れのところ、さっそくご返事をいただき恐縮しています。
統合ありきではない、府大をなくすことを前提としているわけではない、というお考えを承り、安堵しました。さっそく関係する方々にお伝えしようと思います。
私たちは、議論もすべきでないとか、内外の賛同や必然性があるのに絶対に統合すべきでないという立場ではありません。「二重行政ムダ」論の象徴として大学が問題にされ、強権で統合が迫られていることに、こんな動機も目的もおかしいといっているのです。「新大学」の議論もそうした延長線上に巻き込まれるのではないか、その土俵にいま乗ることは避けた方が賢明ではないかとの思いもあります。大阪の大学が、“予算減額、即成果”優先、文系軽視の一方的流れでなく、総合的な高等教育研究の場として、どっしりと大阪と日本の発展に貢献する大学になってほしいと願っています。
お考えは承りましたので、ご返事にはおよびません。
ダブル選挙勝利のため一致して奮闘したいと決意しています。
10月15日 世話人名