市会委 統合議案に、自公保留・共産反対  

 9月20日、午後1時からの市議会・都市経済委員会は、「大学法人統合」関連議案(@法人新設合併協議についての議案、A新法人運営協議会設置議案、B新法人評価委員会設置議案、C大阪市大の中期目標設定についての議案)を審議し、維新が賛成、自民・公明が保留、共産党が反対の態度を表明した結果、継続審議扱いとなりました。次回の委員会は927日に開かれる予定。 

 きょうの審議の模様は、ネットで中継されました。自民党の北野議員が、副首都推進本部会議の議事録を読みこなして、「新大学ビジョンが上山特別顧問の勝手ほうだいの構想ではないか」と質問。公明党は、キャンパス構想も予算措置も不明確な、学生にとって希望が持てない、中身のない法人統合だと批判。共産党の小川市議は、私たちの「陳情」もとりあげ、「二重行政」と押し付けられた拙速な統合を批判、この間の運営費交付金が40億円も削減され、外部資金獲得に、はては軍事研究まで、これでは市大の伝統・歴史も台無しに、大学関係者の間で十分な議論もされておらず、こんなやり方ではとても“いい大学”になりようがない、こんな統合には反対だと追及しました。  

動画は→こちら

 

 議論の要旨を紹介します。市当局の答弁は森山大学支援課長

維新・藤田あきら市議

(省略)

自民党・北野妙子市議

―――144号(新設合併の協議について)、議案の表題がわかりにくいので、内容の説明を求める。

  市大・府大両大学法人を消滅させ、新たな法人を設立するにあたり、地方独立行政法人法のもとづき、ご審議願う。まず法人の統合を行い、大学統合までの間は、新法人のもとで大阪市大、大阪府大、府立高専が設置される。

―――議案は大学法人統合の是非を問うものだ。両大学の独法化から10年。なぜいま法人統合なのか、真意を聞かせてほしい。

  日本の18歳人口は減傾向(92年205万人から2031年99万人)、大学の定員割れも予想される。少子化による大学間競争が厳しくなるもとで、選ばれる大学になるため、大学のプレゼンス向上を計っていかなければならない。大学間競争に勝ち抜き、大阪にとってより良い大学をめざし、府大・市大の統合で新大学の実現を図る。新大学への移行を円滑にすすめるため、平成31年4月に、まず法人統合、その後、大学統合をめざす。

―――そもそも、なぜ法人統合をめざすのか。メリットがあるからだろう。メリットとは何か。

  法人運営の一元化による効果で、新大学への移行を円滑にすすめる。また、法人役員数の削減、法人共通部門の集約、業務の簡素化、効率化を推進し、法人職員の適材適所の配置などで、両大学の教育研究を支える事務体制の充実が期待される。

―――要は「行革」だということですね。デメリットもしっかり考えなければならない。

―――悪い「二重行政」の象徴として、統合計画がすすめられてきた。両大学の存在が「二重行政」と考えての統合なのか。

  統合は、大学間競争に勝てる大学、大阪にとって良い大学をめざすもの。法人統合ののち大学統合による新大学では、基幹教育を充実、学部・学域の再編、新領域への戦略的取組みなどを進めることによって、将来を担う有為な人材の教育、排出、大学運営・教学組織の改革によって教育力、研究力の向上、外部資金獲得で研究力の向上がはかれるものと期待している。

―――(「二重行政」と考えての大学統合なのか)に答えていない。この間、「二重行政」という言葉をあまりに便利使いしすぎている。重複、二元、二重行政・・・。府大・市大の統合は「二重行政」の解消ではない。

―――新大学の方向について。平成27年に「新公立大学モデル」、今回「新大学における戦略」が示され、4者タスクホース報告も出された。中身は難解で分かりにくいが、しっかり読んだ。私は、「報告書」の作成過程がキモだと考える。「新大学について」の報告書の作成や副首都推進本部会議を準備するにあたっての議事録や議事メモも熟読した。新大学の「2つの機能」や「4つの戦略領域」について異論はない。シンクタンク機能は都市問題の解決にとって重要であり、産業競争力の強化にとって技術インキュベーション機能が重要である。しかし、議事録を熟読すると違った側面が見えてくる。特別顧問がいらっしゃるが、「顧問による、顧問のための大学づくり」ではないか。上山顧問の脳内スケッチがビジュアル化されたのが4者タスクホースの報告ではないか。助言を行う立場にあるはずの上山特別顧問が、立場を逸脱し、指示命令している。

―――両大学は、それぞれ130年の歴史をもち、教育、研究、地域貢献を担ってきた。新大学ビジョンは、ステークホルダー、学生、教職員、卒業生らの意思にそったものなのか。「報告」はカタカナばかりで、煙にまくもの、難解なもので、本来の大学にとって大事なことが抜けているのではないか。この進め方に両大学がついていっているのか、現場がおきざりにされていないか心配だ。両大学の17000人学生、3000人教員が理解しているのか。大学構成員に醸成されているのか。先走り感が否めない。「新大学についての報告」はごく一部分の問題だけではないか。大学の全体像はどうなっているのか。

  4者タスクホースでは、「新公立大学大阪モデル」を前提に、魅力ある新大学の実現にむけ、戦略的に取組む重点分野を、府、市、両大学の4者で検討してきた。検討にあたっては、両大学教員の参画もえて、2つの機能、4つの戦略領域の提案をおこなった。新大学の全体像については、この戦略領域をふくめ、両大学が主体となって本格的な検討をすすめていく。

―――市大関係者からヒヤリングした。「報告」と大学の間には、めざす大学像に明らかな乖離がある。大学の軸足は学生にあり、学生の教育研究環境の充実がいちばんの問題。関係者は、統合するのであれば、やはりキャンパス整備が必要だという。そのためには新たな投資が必要になろう。ところが、松井知事らは、昨年は「将来回収できる先行投資」といっていたのに、今年は「いきなり言われても、新たな予算措置は無理」「独自の財源を稼げ」と変化している。新大学の「理想像」は書いた、いいものができたというが、新たな予算は出さないという。運営費交付金も年々削減され十分ではない。府大は7年前から国の基準財政需要額を下回り、昨年は3割も下回っている。新大学の予算措置をどう考えているのか。

  新大学の実現にむけた新たな投資については、今後、その内容、金額、投資によるリターンメリットを精査し、予算議論のなかで判断してゆくものと考える。

―――おかしいではないか。議決してもらって、後から決めるとは。新大学の全体像を示して承認を求めるのが本来の順序ではないか。

―――中期目標について、新旧対照表をつくってみたが、第3期と第2期で変更されたところの違いはなにか。

  「大学統合に準備」「法人統合から大学統合に至る」・・・

―――3期中期目標は、「大学統合の準備をすすめ、新大学の実現をはかる」と明記している。いったい、いつ統合が決まったのか。おかしいではないか。

―――このたびの法人統合議案は、新大学の姿が見えず、議論も尽くされていない。不適切なもので是とできない。議案への態度を保留する。

 

公明党・八尾(はちお)進市議

―――大学統合について、会派の意見を表明したい。今回の大学統合は、学生16000人、全国最大規模の公立大学となるもの。はたして大学の主役である学生にとって希望がもてる適切な教育研究環境が提供できているか。議案は、法人統合の形態のみで、新大学の具体的ビジョンが何も決まっていないではないか。その一例としてキャンパスの問題を伺いたい。

―――8月の推進本部会議で4者タスクホースの検討結果をまとめた資料にも、魅力ある新大学構想として、新大学発足当初は、基幹教育は同一キャンパスで行う。基幹キャンパスを順次集約してゆく、将来にむけてはキャンパス整備をはかり、都心立地を含めたキャンパス計画を推進すると書かれている。どのようなキャンパス構想か伺いたい。

  キャンパス整備は必要と考える。キャンパス構想については、現在、新大学推進会議で基本的考え方を検討しているところ。新大学の開校をにらみながら引き続き検討する。

―――これから検討ということだが、新たなキャンパス整備は認識されている。

―――16000人の学生を擁するキャンパス整備には、相当な予算が必要だと思うが、府・市はどう考えているのか。副首都推進本部会議での本部長の意見はどのようなものか。

 第3回、5回、10回の本部会議で、知事・市長は「今回の大学統合は、効率化をして運営費交付金を減らす話ではない」「コスト削減するつもりはない」「府・市のいまの運営費交付金は下げない。その中で大学の努力により新たな財源を生み出し、大学の成長につなげてほしい」「さらなる予算については、リターンメリットを示してほしい」と述べている。

―――「運営費交付金は減らさない」というが、当たり前の話だ。新たなキャンパスを作るといっているのに、「交付金は減らさない」というのはおかしな話で、本来、必ず増やさないと新しいキャンパスは作れない。新しい大学をつくるというのに、「投資は現行どおり」というのは理解できない。本当に魅力ある大学をめざしているのか、はなはだ疑問だ。これでは、単なる「行革のための統合」としか見えない。大学は営利事業するところではない。大学運営には設立団体の財政措置が必要だが、基準財政需要額と運営費交付金の現状はどうなっているか。

  基準財政需要額とは、地方団体が標準的な水準の行政を行うための一般財源を算定するためのもの、必要経費の一定の目安となるもの。平成28年度、市大は交付金104億5900万円、基準財政需要額100億9200万円、府大は交付金98億6100万円、基準財政需要額126億4400万円である。

―――「資料」によると、市大は運営費交付金が基準財政需要額を4億円上回っているが、府大は28億円も下回っている。7年前から下回り、その差が毎年広がっている。府・市の共同設置というのなら、府・市が折半して財政負担しなければならない。こんな状況で、府は本当に予算支出できるのか疑問だ。914日に「寄付で保育器購入」という記事が出た。府立医療センターの新生児を搬送するための保育器、わずか250万円の保育器が税金で買えないのか、というもの。府の財政危機は深刻だ。1法人2大学では、それぞれ府と市が財政負担するが、1法人1大学になったとき、はたして府が財政負担できるのか懸念がある。教育研究に支障がでないか。統合にあたっては、やはり新大学の全体像と新大学の安定的発展的運営に必要な財政的裏づけが必要ではないか。

―――中期目標については、第7章に、統合が既定事実として記述されており、認められない。

 

共産党・小川陽太市議

―――大阪市大と府大の法人統合の中止を求める「陳情」を添えて、「大学法人統合」議案が提案された。大学の将来像も予算措置も示さない「統合」は拙速であり、反対だ。「陳情」が述べているように、多くの大学関係者、名誉教授や卒業生、府市民が、拙速な「統合」に憂慮、反対しており、1311月市議会での否決、155月住民投票での否決をもって、白紙撤回されるべきだった。ところが、15年末のダブル選挙の結果、「統合」問題がよみがえった。大学関係者のコンセンサスも得られていないのに、なぜ「法人統合」するのか。

  少子化による大学間競争が激化してゆくなか、大学のプレゼンス向上をはかり、大学間競争に勝ち抜く大学、大阪にとってよりよい大学をめざし、他大学に先駆けて府大との統合による新大学の実現をはかる。新大学への移行を円滑にすすめるため、まず法人統合を実現させるもの。

―――大学間競争というが、建学の精神をなくす統合では、決していい大学にならない。市大は大阪の経済・文化の発展に貢献してきた。このたび、新大学をめざし、まず法人統合というが、大学の将来像もこれからだという。「陳情」は、法人化以降の運営費交付金の大幅削減で、財政基盤が弱体化していることを危惧している。もともと、橋下前市長が「二重行政」といって、こんな大学を維持する必要があるのかと、強引に「統合」をすすめてきた。いままた議論が不十分なまま、法人統合がやられようとしている。昨年1月の中期目標変更のとき、付帯決議で「結論ありきでなく、一から検討」といったのに、なぜ法人統合を急ぐのか。議会の意思に反するではないか。

  大学統合について、昨年4月の副首都推進本部会議で4者タスクホースが設置され、新大学のビジョンの検討がすすめられてきた。今回、法人統合により法人運営の一元化をはかり、新大学への移行を円滑にすすめることができると考えている。

―――新大学への移行を円滑にすすめる法人統合というが、大学ビジョンはこれから検討するという。新大学の将来像をもたないままに統合をすすめていいのか。いまでもさまざま異論があるもとで、法人統合してもさらに異論が出るだろう。法人統合すれば、後戻りできなくなる。1法人・2大学・2設置者、このようなやり方ではさらに混乱するのではないか。「陳情」は、2公立総合大学は、比較的安い授業料で高等教育を提供する、府市民共通の財産であり、これを奪っていいのかと、統合は市民にとって損失だと述べている。また、付帯決議では、「さまざまな意見を取り入れる」となっている。はたして、どれほど関係者の意見を聞いているのか。多くの教職員や学生たちには何も知らされず、府・市、法人役員だけが独走しているのではないか。よりよい大学をめざすというのなら、大学関係者の意見を広く聞き、とりいれるべきではないか。

  市大では、ホームページや大学広報で、統合問題の動きや学長メッセージを載せ、学生・卒業生らステークホルダーとも対応している。同窓会や後援会でも報告説明し、意見交換している。教職員には、昨年、本年と2回、重点分野の検討のために4者タスクホースから説明し、意見交換を行っている。

―――不十分だ。一方通行の説明ではないか。ほんとうに、ステークホルダーの意見、みんなの意見をくみ上げる、協議の場が要るのではないか。

―――今回の統合は、内発的要求でなく、「二重行政」といっておしつけられたもの。今回、「都市シンクタンク」と「産業インキュベーション」の2つの機能の強化というが、法人化以降、運営費交付金が40億円も削られ、財政基盤が弱体化し、大学では外部資金の獲得に追われている。一時金を研究費にまわす覚悟をした教員もいると聞いた。こんなことで、いい大学が作れるのか。ノーベル賞を受賞した大隅先生は「政府の助成対象として産業や医療の応用研究が重視されることを危惧する」「技術のためでなく、知的好奇心が探求できる大事な芽を残してほしい」と述べている。いい大学をつくるためには、学問と基礎研究を豊かに発展させることこそ大事ではないか。

 新大学設計4者タクスホースでは、大学の基本機能である教育、研究、地域貢献の3つの機能を維持、向上させながら、さらに、大阪における新しい公立大学のモデルとして、大阪が直面している高齢化と産業構造の高度化の2つの課題解決のために、都市シンクタンク、産業インキュベーションの2つの機能の充実・強化をはかると提言している。

 委員、ご指摘の観点も含んでいる。これらの機能をもつ新大学は、従来の公立大学の枠を超えたスケールで、大阪の知の拠点として大阪の発展を牽引する大学になると考える。

―――「便利で稼げる大学」(松井知事)と聞こえる。市大が、外部資金の獲得のためと軍事研究に手を挙げたことに、大学関係者や市民が驚き、ショックを受けている。高度な技術研究で外部資金を稼ぐという大学は、いい教育研究環境では決してない。先日のテレビで、京大・山中先生(市大卒業生)は、iPS細胞研究所職員の9割以上が非正規職員、研究資金が期限付きだから研究者の身分も安定しないと嘆いていた。公立大学こそ、大学の教育研究に必要な財政措置をしっかりと講ずるべきで、大阪市の責任は大きいと考える。

―――いい大学をつくるために、大学の教育研究をよくする立場にたってほしい。先行き不透明な「法人統合」では、いい大学にする保障はない。設置者として、統合議論に一旦終止符をうち、地に足を付けた取り組みに切り替えていくことを強く要望し、統合関連議案に反対を主張する。

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