1027日、府議会・教育常任委員会で、府大・市大法人統合関連議案についての質疑が行われ、日本共産党の石川たえ府議が質問した。 

 石川たえ府議の質問と、府民文化部・松阪副理事の答弁の要旨は次の通り。 

《石川》平成279月の委員会で、大学統合問題について、府立大学の教職員や学生への説明を求めたところ、「学生や卒業生など関係者への説明や意見聴取を行い、関係者の意見を十分聞きながら検討をすすめる」と答弁された。この2年のあいだに、関係者の意見聴取について、どのように改善され、統合問題についてどのように周知されているか。 

《府民文化部・松阪副理事》統合については、昨年4月以降、府市及び両大学の4者タスクホースで検討、両大学の教員、役員からインタビュー、意見交換しながら、新大学に求められる機能などについて検討してきた。昨年8月の副首都推進本部会議で、その検討状況を中間的に報告、9月に両大学の教員に説明会、意見交換、学内等への情報発信。さらに10月から両大学教員を中心とする戦略領域別ワークショップを実施、より具体的な検討をすすめ、その成果を、本年8月、両大学の教職員に説明、副首都推進本部会議に報告。 

 こうして、両大学の教職員に検討状況を周知、意見を聞きながら検討を進めてきた。学生や関係者に対しては、大学のホームページに統合に関する議論や検討状況を掲載、受験生やその関係者には学長メッセージでアナウンスするなど情報発信。昨年2月、学長と学生との懇話会を開催し、意見交換、その後も学生自治会に説明、意見交換を行っている。

学内の十分な議論が不可欠

《石川》大学ホームページや学長メッセージで周知しているというが、どれくらいの学生にとどいているのか。 

《松阪》ホームページは誰でも見られるので、学生は日々、必要に応じてホームページを検索しているだろう。数については承知していない。 

《石川》前回(H279月)質問のとき、周知について、住民票にもとづき郵便物を送り周知すると言ったが、住民票のない学生には届かなかった。今回、ホームページで周知というが、どれくらいの学生が見ているのか疑問だ。学生自治会ホームページに公表されているアンケートの集約結果によると、第2期中期目標の変更と府議会付帯決議について「知らなかった」と回答が83%、副首都推進本部会議での統合審議について「知らなかった」と回答が86%、ホームページでの周知はこの程度ではないか。 

教職員にお聞きしたところ、統合問題の説明会はH288月の1回だけ、その内容は戦略領域についての説明で、大学統合についての教職員の意見は聴取されなかったと。これで、学生や教職員の意見を聞いてきたと言えるのか。 

《松阪》(先ほどの答弁内容を繰返す) 

《石川》説明会や意見聴取はすべての教職員を対象におこなったのか疑問だ。4者タスクホースで意見交換、教員を中心に戦略領域のワークショップというが、府大の教員にお聞きすると、「そもそも何故、大学統合なのか」「今後どのように統合がすすめられてゆくのか」「これまでの研究や、それぞれの大学の独自性をどのように引き継ぐのか」などについて、ほとんど情報が伝わらない、これでは統合問題の賛否も判断できないと言われる。若い教員では、統合の行方がハッキリしない大学に留まれないと他大学に移られた人もいる。 

教育基本法によると、大学については、「自主性、自律性、その他大学における教育、研究の特性が尊重されなければならない」と定められている。組織改革には、大学の自主性を生かし、大学内での十分な議論を経ることが不可欠ではないかと考える。 

もう一度聞くが、「情報が少ない」「今後、どうなるのか考えると不安」「統合についてよく知らない」という教職員や学生が圧倒的に多いというなかで、「統合ありき」の戦略領域の報告ではなく、現場の教職員や学生の意見聴取を、これまで以上にしっかりやるという意思はあるか。 

《松阪》大学統合について、昨年4月以降、タスクホース、ワークショップで教職員らの意見を聴取しながら検討してきた。その中で、戦略領域や新しい機能についての議論がすすんできた。その都度、検討状況を説明してきた。情報提供は、今後もやってゆく。大学においても、各種の会議などで周知されるようにしていきたい。

教員のボランティアで質を担保するのは限界

《石川》一部だけでなく、全ての教職員や学生多数からの意見聴取を徹底して行わずに統合の議論をすすめてはならないと考える。是非ともきっちりやってほしい。 

 次に、運営費交付金について質問したい。運営費交付金の推移は、第2期中期目標の期間(H23年から28年)に中期目標にそって運営費交付金は826715千円削減され、10年間で3割も削減されている。基準財政需要額よりも運営費交付金が27億円も下回っている。交付金に施設整備費を足しても、14億円下回っている。運営費交付金が減らされ、教員も適正化という名目で10年間に2割も減っている。結果、教員の多忙化が広がり、専門講義の負担が増え、学生への指導も不十分、卒業論文の指導もままならない、教育の質が危ぶまれる。教員に残業はないが、仮に残業時間を計算すると月200時間を超える教員がざらにおられる、土日もない、という状況だ。また、教授が退職すると研究が継承されない事態も起こっている。これ以上、教員のボランテイア精神で教育研究の質を担保するのは限界にきている。いま、必要なことは、運営費交付金や教員数を増やし、大学の質、基礎研究の質をしっかり守ることではないかと考える。このうえ、統合が強行されると、研究が続けられないという不安も起こっている。運営費交付金は、どうなってゆくのか。 

《松阪》先ほど、運営費交付金と施設整備費を足しても、基準財政需要額との差が14億円といわれたが、H29年度では、運営費交付金が97億円、施設整備費が21億円で、計118億円。基準財政需要額は計算上123億円であり、その差は5億円となっている。 

  運営費交付金について、H23年度から28年度の第2期中期目標期間では、教育研究水準の維持、向上を図りながら、収支改善にとりくんできた。H29年からの第3期中期目標期間においては、運営費交付金の現状の水準を維持することを明記している。統合後の大学における財政支援の考え方についても、現状の支援水準を維持し、適正な財政運営に努めてゆくこととしている。 

《石川》運営費交付金と施設整備費を足した額は、H18年度から28年度の10年間で14億円削減されている。 

 今後、運営費交付金は現状維持というが、すでにこの10年間で大きく削減され、施設整備費を足しても減っている。これでは教育研究の水準が維持できないと悲鳴が上がっている。かつて、大阪女子大と社事短大が府立大学に統合されたが、長く大阪の文化行政に貢献してきた旧大阪女子大の文学研究科は、府大の人文に引き継がれたが、教授がいなくなって廃れてしまった。いま求められているのは、大きく減らされた運営費交付金の水準をそのまま維持することではなく、大きく増やしてゆくことこそ求められている。第3期中期目標期間の運営費交付金は現状を維持し、第3期中に新大学を発足させることになっているが、その後どうなるか分からない。これでは、教育研究の質が守れない。府大は「海外に展開する高度な研究型大学をめざす」というのなら、減らされた運営費交付金の水準を維持するのでなく、運営費交付金も教員数も増やして、教育研究を継続させてゆくことが大事だと考えるが、どうか。 

《松阪》統合後の財政支援については現行の水準を維持するとともに、更なる財政支援が必要なときは、そのリターンメリットを精査して判断することにしており、適切な支援をおこなっていく。 

《石川》いま、適切な支援になっていないので、適切な支援を要望したい。 

 学生や教職員からの意見聴取もなく、教育研究の質が担保できないという不安のもとで、大学統合だけが進んでいけば、「大学間競争に打ち勝ち、国際競争力を高める大学に発展する」という根拠を示してほしい。 

《松阪》両大学による「新・公立大学大阪モデル(基本構想)」をふまえ、大学が有する人材や資源を最大限活用することで、教育研究、地域貢献という基本機能のいっそうの向上が期待される。これに加え、府市及び両大学によって取りまとめられた報告書で、都市シンクタンク、技術インキュベーションの2つの機能を充実・強化することにより、大阪の都市問題の解決や産業競争力強化に貢献できるというビジョンを示した。このビジョンにそって、大阪の発展を牽引できる全国ナンバーワンの公立大学を実現するため、まず法人統合を行い、両大学の経営を一元化したうえで着実にとりくみを進めていきたい。

高い学費、厳しい減免要件

《石川》新大学の目標についてくり返し述べられるが、根拠は示されない。 

 いま、府立大学は国立大学よりも学費が高い大学になっている。減免基準の緩和、実験機器充実負担金を減免の対象にするなど、多少の努力はされているが、府立大学の授業料減免制度は、生活保護世帯で、しかも成績が上位3分の1に入らないと全額免除にならないというもので、貧困家庭の子弟ほど学習機会の確保が難しくなっている。なんと高いハードルか。大学間競争に打ち勝つというのなら、このような現状を直ちに改善するべきではないか。 

《松阪》府立大学の授業料減免制度については、他の国公立大学と同様に、納付が困難な学生に対して所得基準と成績基準を設けて減免または免除を行っている。これまで、H25年度に成績基準の一部緩和で対象範囲の見直しを行ったが、適正な運用につとめていきたい。 

《石川》他大学に比べて高いとは認識しておらず、緩和措置も行ったというが、用件緩和は「上位3分の1」が「2分の1」になっただけで、免除者は68人しか増えていない。府立大学獣医学部では、初年度納付金が110万円を超える。府内生の入学金は国立大と同じ28万円だが、府外生はさらに10万円プラスされる。同じ公立大学でも首都大東京の入学金は、都外生は国立大学並みだが都内生は半額となっており、受験料も首都大東京が17000円なのに、大阪府大は30000円とほぼ倍額。授業料減免をうけた学生(院生含む)数は、H28年度前期で東京759人、大阪府大は322人、東京のほうが減免枠が広い。学生たちが安心して学べるように、運営費交付金の増額、授業料減免制度の拡充、入学金の減額などの改革が求められているのではないか。 

 今回の法人統合、大学統合の議論は、そもそも大学内から生まれたものではなく、「二重行政解消」といって押し付けられたもの。まず法人統合、後に新大学の検討をすすめるというが、法人統合してしまったら後戻りできない。「便利で稼げる大学」(松井知事)ではなく、教員のボランティアではなく、基礎研究を豊かに発展させ、教育研究を次世代に継承する、大阪と人類の発展に寄与できる大学をつくっていくために、「統合ありき」の議論は一旦おいて、現場の意見をしっかりよく聞き、地に足付けたとりくみを求める。 

なお、大学問題についての知事質問を要求する。 

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