府議会委で統合議案可決 

 112日府議会教育常任委員会が開催され、「大学法人統合議案」について日本共産党の石川たえ府議が知事質問を行った。この質疑をもって委員会審議を終了。休憩・再開後、各会派が議案に対する態度表明ののち、賛成多数(共産党のみ反対)で「大学法人統合議案」が可決された。なお態度表明で自民は「一法人2大学で検討を進めるべき」と主張した。公明は態度表明をせず。

 石川府議の知事質問の要旨は次の通り。

統合すれば「強い大学」になるという根拠は何か 

《石川府議》府大・市大の統合について。H279月の当委員会で学生や教職員への説明責任を果たすよう求めたが、教職員や学生に対する説明や意見聴取は極めて不十分で、学内議論は全く醸成されていない。「公立の高等教育機関として、学生・府市民にとって有益かどうかの考察を欠いている」と教員から疑義があがり、86%もの学生が自治会アンケートに統合問題を知らないと答えている。教育基本法では、大学について「自主性、自律性、その他大学における教育研究の特性が尊重されなければならない」と定めており、組織改革には、大学の自主性を生かした十分な議論が不可欠であるにもかかわらず、大学内では自主的議論が不十分なもとで、拙速に統合を進めるとはいかがなものか。2大学を1つに統合すれば強い大学になるという根拠は、いったいどこにあるのか。

《松井知事》両大学がまとめた「新・公立大学大阪モデル(基本構想)」において、両大学の統合によって教育研究・地域貢献の2つの基本機能のいっそうの向上が期待でき、大阪の発展が牽引できるという考えが示されている。加えて、府市、両大学がまとめた「報告書」にそって、都市シンクタンク、技術インキュベーションの2つの機能を充実強化することにより、大阪の都市問題の解決や産業競争力強化に貢献できると期待できる。こうしたビジョンをふまえ、両大学の統合によるスケールメリット、相乗効果を発揮し、全国ナンバーワンの公立大学となる新大学をめざす。

《石川》くり返し「統合による強い大学の根拠は何か」を聞いてきたが、スケールメリットと相乗効果というだけで、何をもって全国一の公立大学なのかわからない。「日経グローカル」が毎年行う大学の地域貢献度調査で、H27年は府大が11位、市大が6位でどちらも上位、全国的にみて地域貢献度は高い大学だ。両大学とも地域社会の期待にこたえるべく設置され、長年にわたり比較的安い学費で質の高い高等教育を提供し、多数の卒業生を輩出してきた、府市民の貴重な財産だ。この両大学を統合する意味と、強い大学になるという根拠を、あらためて学生や教職員に説明し、統合の前に現場との討議を進めることを約束していただけないか。

《松井》大学内の議論は両大学執行部のもとでしっかりやられている。これまでも教員の参画を得て検討をすすめ、進捗に応じて説明、意見交換、学生にもさまざまな機会に説明、情報発信、意見も聞いてきた。今後とも統合の検討状況などの情報を周知、関係者の意見を聞きながら取組みをすすめていきたい。「何をもって強い大学か」という根拠だが、より具体的にいえば、全国で医学部と獣医学部がいっしょに有るのは9大学(国立7、私立2、公立は0)。統合すれば、関西で唯一の医学部・獣医学部を有する大学が誕生することとなり、ライフサイエンス、バイオテクノロジーなどの分野で新しい研究成果が期待できる。大阪エリアに医学部と獣医学部を有する大学が誕生する。これをもって機能強化とならないと言われるのが分からない。まちがいなく機能強化につながると思っている。

《石川》医学部と獣医学部がいっしょになれば機能強化と言われるが、いっしょにならなかったら機能強化できないのかという疑問も生まれる。「医学部と獣医学部が一つになるから強い大学になる」と、これが根拠なのか。

《松井》それがスケールメリットの一例だ。さらに、府大の理工学部の「ものづくり」の研究成果も積み上げており、新たな医療機器の開発もできるだろう。そういうもの全て含めてスケールメリットだ。より具体的に、医学部・獣医学部を有する大学ができると言ったもの。関西で唯一の医学部・獣医学部を備えた大学になるのに、これで機能強化にならないという貴議員の感覚が理解できない。

《石川》知事との意見の相違はあたりまえだ。医学部と獣医学部をいっしょにならなくとも連携すればよいという意見もある。学生や教職員への説明不足や、学域再編されて検証しなければならないところに、さらに統合など受けとめられないという現場の声があることも事実であり、さらに丁寧な説明責任があるのではないか。

運営費交付金は現状維持というが、今後、増える見込みはあるのか

《石川》新たな公立大学としての2つの機能、戦略領域の「報告書」に、大阪の高齢化と健康寿命の延伸は重要課題と位置づけられており、具体的なとりくみ例の一つに、地域医療を支える看護職の現任教育をとりあげられ、その条件として教員の増員が明記されている。この間、府大への運営費交付金は減らされ続け、施設整備費を足しても、H18年から28年の10年間で、145千万円も削減されている。教職員の人件費も削られ、教員数も2割も減っている。教員が減ったことで、教員1人あたりの学生数が増え、卒論の指導や学生へのケアーが行き届かず、基礎研究の継続も危ぶまれている。教員が退職すれば研究がとだえてしまう状況すらある。運営費交付金は現行どおりという答弁だが、現状維持では教員増はのぞめないのではないか。新たな課題のために教員増をかかげているということは、当然、運営費交付金も増え、教員も増えるということか。

《松井》運営費交付金については現行の水準を維持することとし、教員の配置についても、両大学の統合によるスケールメリットや相乗効果により対応できると考えている。

《石川》運営費交付金は現状維持というが、すでに交付金は大きく削減され、教員も減っており、このままでは教育の質が担保できないと言われている。運営費交付金を増やさず、どうやって教員増をはかるのか教えてほしい。

《松井》両大学の重なっている部分を、スケールメリットを活用して財源を生み出してゆく。その財源を新たな研究分野に振り向けてゆく。

《石川》スケールメリットのなかで、どうして新たな財源が生み出されるか。

《松井》両大学のさまざま組織の仕組みの中で重なっている部分がある。重なっている部分は絞り込むことがでるはず。いま、それぞればらばらにやっているところを一つにまとめれば、組織としては絞り込むことができる。そうすれば財源は生み出せる。また、新たな投資が必要な場合は、リターンメリットを精査し、そのときに考えることになる。

《石川》「報告書」にもどるが、看護師を育てる教員増のところの前に、府大も市大も保健師をたくさん輩出していると書かれている。この保健師たちが大阪の健康寿命を支えている。この両大学の看護学部を一つにしてしまって、教員増がいる、でも運営費交付金は増やさない、これでどうして新たな財源がでてくるのか甚だ疑問だ。府大の理事長も、統合によって運営費交付金は減らさず、現状維持を要望しており、同時に、必要性が認められれば交付金を増やすことも了解済みと述べておられる。知事は現状維持というが、今後、運営費交付金が増えてゆく見通しはあるのか。

《松井》府大理事長の話については、説明がつけば増やしてゆくということだ。現状では、新たな投資が必要なリターンメリットは示されていない。示された段階で精査し判断することになる。

《石川》具体的な問題が示されていないから、交付金の問題は今後の問題だといわれる。ところが、具体的なことが示されていないのに、統合だけはすすめるという。ここに、教職員や学生が「具体的なことが示されていないに、どうして統合だけすすむのか」「説明も相談もないではないか」という声がでてくる。ここを置き去りにしたまま統合だけすすめるのは、あまりに拙速ではないか。これが現場の声だ。いまの答弁では、今後の検討次第で交付金が増える可能性もありうるわけだ。そういうことも含めて、現場の教職員や学生にもっと丁寧な説明が求められている。法人統合する前に、丁寧な説明で理解と納得を得るようにするべきだ。現状維持とは、マイナスからの出発であり、マイナスからの出発ではなく、是非とも運営費交付金を増やし、教員を増やし、新たな投資も検討していただきたい。

高い大学授業料、減免制度の拡充を求める

《石川》府大の学費は、国立大学とくらべて授業料は同額だが、初年度納付金が高くなっている。入学金は、府内生は国立並みだが、府外生は10万円高い。獣医学部では、実験・実習の負担金が徴収され、獣医学部の初年度納付金は110万円にのぼる。この110万円とは、どれほどの額か。府が公表している資料によると、シングルマザーの平均年収200万円未満が61%であり、この200万円の半額が初年度の納付金である。そのうえ、府大生の3分の1が奨学金を受けており、卒業すると借金としてのしかかる。かつて、府大は安い学費で大阪を支える人を育てる大学だった。いまは、収入が低い家庭の子どもは大学に進学できない。せめて授業料減免枠を広げるとか、成績要件をなくすなど、減免基準を緩和して、学生が通いやすい大学にするべきではないか。

《松井》なんでシングルマザーの年収と獣医学部の初年度納付金がつながるのか。議員の質問の意味がわからない。印象操作しているのだろうが。石川議員の年収なら十分払える110万円ではないか。

府立大学の授業料については、減免制度の成績要件を一部緩和し対象範囲を拡大するなどの見直しを行ってきた。学生支援制度の充実は必要と考えており、他大学や学生の就学状況もみて、今後とも、減免制度を適切に運用してゆく。

《石川》時間がなくなったので、授業料減免制度の拡充と運営費交付金の増額を求めて質問を終える。

 

 

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