12月12日に大阪市会で、19日には府議会のいずれも本会議で22年の統合を目指すという公立大学法人大阪(19年4月発足予定)の「中期目標」案が可決されました。市会での議論を紹介します。

125日に開かれた大阪市議会・都市経済委員会で、継続扱いになっていた議案「新大学法人に係る第1期中期目標の制定について」が審議され、維新・公明が賛成、自民・共産が反対、賛成多数で可決されました。各党・会派の質問(要旨)を紹介します。 

●維新の会・徳田市議 

①「中期目標」案には「2022年度を目途に大学統合の準備をすすめる」と統合期日を明記している。大学統合は両大学と緊密に連携して取り組み必要があるが、統合時期について、大学側の意見を聞いていたのか。

小林・大学支援担当課長――「地方行政独立法人法」の定めにより、20161月も今回も大学の意見を聴取している。

②新大学のキャンパス整備について、「森之宮に共通キャンパス」と質疑されているが、府立成人病センター跡地に新キャンパスを開設するとすれば、いつ頃に実現できるのか。

 小林課長――府は、成人病センター跡地について3つに分けて活用案を求めている。成人病センター跡地を活用するとすれば、府が現建物を撤去して跡地を引き渡すとして、最も早くて2024年、そこから着工するとして一定期間が必要となる。

③森之宮に新キャンパスを開設するとすれば20267年となるわけだ。新大学の開学時に、共通教育は同一キャンパスでという考えについて。関西の主要大学はどうなっているか。

 小林課長――京都大、大阪大、神戸大は複数キャンパスがあるが、共通教育は同一キャンパスで行っている。兵庫県立大や関関同立は複数のキャンパスで共通教育をやっているところもある。

④吉村市長は、将来的には共通キャンパスが望ましいが、新キャンパスができていなくても新大学を開学するといっている。新大学に向けた大学側の検討状況はどうなっているか。

 小林課長――新大学のキャンパス計画については、学部・学域、教育研究組織の検討とともに、両大学が理事長予定者とも協議しながら、2022年を目途とする新大学の全体構想案を検討中。キャンパスの集約化や都心キャンパスについては、市長の考えも踏まえ中長期的に検討する。

⑤魅力ある新大学、大学間競争が激しくなるなかで、選ばれる大学めざして価値を高めること。

市大・荒川学長は「統合によるシナジー効果で、高い教育研究レベル、日本最大の公立大学に期待」、府大・辻学長は「少子化が進むもとで、教育研究の幅を広げることが大切。統合によるスケールメリットに期待」と歓迎している。新大学設立はスピードも大事。2022年を目途に、ブレずに必ずやり切ってほしい。

●自民党・山本市議

①「森之宮キャンパス」には困難が多く、市長も「将来的には・・」とトーンダウンしており、開学時に森之宮キャンパスは実現できない。現行の杉本、中百舌鳥など5つキャンパスで新大学を開学すれば、これで統合したといえるのか。看板を付け替えるだけならないか危惧する。なにをもって「優秀な学生・研究者が集まり、大阪を牽引する大学になる」というのか。

 小林課長――大学が検討している新大学構想は、キャンパスなどのハード面とともに、優秀な学生・研究者を集める、目玉となる教育・研究のソフト面を検討、都市シンクタンク機能、技術インキュベーション機能、魅力ある大学を構想している。

②同じ答弁ばかり、具体的な中身がない。これでは、優秀な学生も研究者も集まらない。現時点で何も示さず、構想も大学任せ、これまでと同じ回答にあきれるばかりだ。キャンパス計画、地元対応、財源問題、府・市の財政負担、すべてが先送り。これでは、まともな議論ができない。今後3年間で、すべてを具体化することなど、とてもできない。こんな状況で、「2022年を目途に統合」を明記する「中期目標」には、とうてい賛成できない。中身なしに期日だけとは異常だ。「2,022年」を変更しないのか。

 小林課長――大きな事業を関係者が気持ちを一つに取り組むために「中期目標」を決める必要がある。「中期目標」は、統合の準備をすすめることを指示しているが、大学統合を決定するものではない。新法人のもとで新大学の姿を固め、議会に諮ることになる。議会での審議をとおして魅力ある構想にしたい。2022年を目途に、まずは統合準備をすすめたいと考える。

③「中期目標」はそんなに軽いものか。拙速に進めば、積み上げてきた府大、市大のブランド価値が下がってしまう。スケジュールがつまずけば、2022年統合は不可能になり、大学ブランドが地に落ちる。見通しをしっかり立ててからすすめるべきではないか。後世に禍根を残してはならぬ。

●公明党・島田まり市議

1025日の私の一般質問で、市長は「学部・学域の再編、キャンパス計画などについて、新法人設立後、すみやかに議会に示すために、年度内には取りまとめるよう、改めて大学に指示する」と答弁いただいた。新大学の絵姿は2019年以降に示されることになる。2022年に新大学開学するには、受験生のことを考えると、2019年夏には受験要領を示す必要があり、文科省の承認を得るには202010月までに一連の具体化を図る必要がある。こんなタイトなスケジュールをいったいどうしてすすめるのか。

 小林課長――新大学の姿は、新法人発足後すみやかに議会に示せるよう、新理事長予定者も入り、教育研究のあり方、キャンパス再編などを検討中。議会に示す案は、両大学と府・市がまとめて提案する。大学統合関連の議案は2019年度中に議会にはかりたい。入試関連についてもできるだけ早期にすすめたい。

②大学統合については、20161月「中期目標の変更」を議決した本議会で「プレゼンス向上がなければ統合の意味がなく、結論のみ求めることがあってはならぬ」という付帯決議を全会一致であげた。拙速に統合ありきですすめることは、断じて認められない。議会の承認にあたっては、統合よるプレゼンスが向上し、優秀な学生が集まる魅力ある大学になり得るのか、事業費や財源問題など、丁寧な説明と慎重な議論が必要だ。議会承認がなければ2022年開学はできない。2022年の期日にこだわると、かなりの支障が予想される。市長はどう考えているのか。

 吉村市長――優秀な学生・研究者が呼べるように、教育研究の新たな分野、中長期的なキャンパス集約化、都心の拠点化など、新大学の全体構想を示すよう指示している。大学からの構想案をまとめて議会の承認を得なければならない。理解がえられなければ統合をすすめられない。まずは、2,022年にむけて新大学の準備を進めたい。議会の指摘に真摯に対応し、理解を得られるようにしたい。

「議会の指摘に真摯に対応し、理解を得られるようにしたい」という答弁は、2022年開学が困難と判断される状況なら柔軟に対応する、とうけとめた。本来なら、いまのタイミングで新大学発足時期を見直すべきと思うが、新法人からの計画案が議論の出発点ということなら、具体案をふまえて、開学時期を最終判断するよう市長に求めたい。わが会派もしっかり議論し、判断したい。市長には情勢を的確に見定め、早急に判断されるよう要望する。

●共産党・小川市議の意見表明

  統合にむけ、どんな大学をつくるのか、具体的な提案がないまま、法人統合が議決された。さらに、今回「2022年度を目途とする両大学の統合による新大学にむけ準備をすすめる」と期日を明記した「中期目標」を盛り込もうとしている。

市大、府大は、それぞれに歴史を刻み、歴代の教職員、学生、卒業生など、多くの関係者の思いや経験、伝統が積み重なって今に繋がっていると思う。ところが、新大学の姿を示すことなく、先日の法人統合、つづく今回の「中期目標」の決定は、大学関係者をはじめ多くの市民の目の届かないところで、政治主導で(統合を)強行するものであり、決して市民に理解されないだろう。

実際、2022年に新大学をスタートさせようとすれば、市の計画表によると、2019年4月に新法人がスタート、7月頃には学部・学域・学科、大学院の構成と定員、大学・大学院における学位授与の方針、教育課程の編成や実施方針、入学者受入れの方針、3ポリシーの方針策定、カリキュラムと教員配置、卒業までの時間割シュミレーション、キャンパスの計画、大学及び大学の学則、履修規定など多くのことを決め、夏には入試科目なども公表する必要があると書かれている。学部・学科の構成を決めるとは、どの学部・学科をなくすのかという、いよいよ大学リストラの具体像を示すことになり、大きな問題が噴出するだろう。

  行政が強権的に大学統合をすすめれば、大きな軋轢を生むことになる。大学の全体像も示さず、見切り発車で既成事実を重ねていくようなやり方は、関係者のみならず、市民的・府民的にもおよそ理解が得られない。そもそも大学統合は、「二重行政の解消」という議論から始まり「府・市合わせた運営費交付金が200億円は多すぎる」といっていたものが、いつの間にか「いい大学にしていく」「大学間競争に打ち勝つための大学統合」「18歳人口が減少するなか、選ばれる大学になるための統合」と、あれこれ言い出した。

現在、市大・府大とも募集倍率は高水準にあり、歴史と伝統ある公立総合大学として、比較的安い学費で学べる高等教育機関として十分にその役割を果たしている。いい大学をつくるというのなら、運営費交付金の削減をやめ、歴史と伝統を重ねてきた市大・府大それぞれの大学自治に導かれた意思を尊重し、公立総合大学として発展させるための支援こそ求められている。

大学統合の本質は「大学リストラ」であり、断じて認めるわけにはいかない。大学関係者と市民を蔑ろにする大学統合に突き進む本「議案」には反対である。

●各派の態度表明のあと起立採決

  維新の会、公明党が賛成、自民党、共産党が反対、賛成多数で委員会は可決した。

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