8・27副首都推進本部会議での「新大学基本構想」の報告・審議より

 8月27日午後の副首都推進本部会議で、府大・市大「統合」―「新大学基本構想」が報告・審議されました。会議に提出された資料は、①新大学実現にむけた取組み経過(4ページ)、②新大学基本構想(37ページ)、③「選択と集中を忘れない、外部機関との連携を前提とする」大阪府・市 特別顧問 上山信一(8ページ)の3つです。以下、ネット中継を視聴してメモを作成しました。

●はじめに、「新大学実現にむけた取組経過(と今後のスケジュール)」を森理事が報告。

西沢良記理事長が「新大学基本構想」の概略を報告・説明。

 市長・知事が参加される会議で報告の機会を与えられ、お礼を申し上げる。

この「基本構想」は、4月に新法人が発足し、新大学準備推進室を立ち上げ、検討を重ね、役員会

で決定したもの。検討の経過は、理事長をトップに新大学推進会議を設置し、理事、両大学学長・副学長らで、新大学の教育・研究体制の重要方針を検討。詳細な検討については、この会議のもとに担当理事をトップに推進委員会を設置、さらに詳細を検討する30のワーキンググループで、多くの教職員も参加して検討した。検討内容については両大学で共有し意見交換、府・市の担当部局とも新大学設置準備会議を設置して協議をすすめてきた。この報告は、法人での検討を経て、経営審議会など外部委員や両大学内の意見もふまえてとりまとめ、本日、府、市に提出したもの。以下、基本構想の概略について報告する。

基本構想の構成は、1はじめに、2策定の背景、3新大学がめざすもの、4統合効果を発揮するための取組み、5大学統合による効果、としている。

順を追って説明する。1ページ、これまでに「新・公立大学」大阪モデル及び4者タクスホース報告書「2つの機能・戦略領域」を、さらに具体的内容としてとりまとめた。2ページ、統合の必要性、3ページ、改革の経過。4・5ページに、新大学がめざすもの。新大学では大阪の発展をけん引する知の拠点として、世界に展開する高度研究型大学をめざし、国際化やダイバーシティに積極的に取組むことや、「都市シンクタンク機能」「技術インキュベーション機能」という新たな機能を加え、「スマートシティ」など4つの戦略領域を中心に取り組んでいく。5ページに、「2つの機能」と「4つの戦略領域」を説明しており、つづいてプロジェクト例を紹介している。6ページ、都市シンクタンク機能を支える体制、7ページ、技術インキュベーション機能を支える体制、9ページに、行政などの各種ビッグデータを一元的に管理・解析・活用するためのデータマネジメントセンターを設置し、行政や企業、地域とのプラットホームを構築すること。都心キャンパスの森之宮は、スマートシティの実装の可能性のあるエリア、新大学としても大阪城東部の街づくりに参画したい。10ページから、統合のシナジー効果を発揮する実例、防災・減災、都市基盤、地域社会、などを列挙。

20ページから教育、研究に関すること。21ページに教育の全体像、基幹教育の理念と内容、教育科目を示す。22ページに基幹教育機構の設置を明記。英語教育。22年の開学時での基幹教育は既存キャンパスで、25年には森之宮キャンパスで行いたい。23ページは研究、24ページは社会貢献、25ページは国際化、26ぺージに強化ポイント、参考に世界ランキング向上の取組み。27ページは教育研究組織、新大学では同種の分野を1つに集約し、新たに情報学研究科を設置、農学部・研究科、獣医学部・研究科、看護学部・研究科を独立(1学域・11学部、15研究科)。28ページに情報学研究科の新設、29ページに現代システム科学についての詳細。30ページは教育研究組織の主な特徴を。

31ページは、ガバナンス改革、これまでさまざま取組んできたが、今後も重要と認識、教育研究体制の改革、大学運営システムの抜本改革、職員の戦略的人材養成にとりくむ。32ページにこれまでの取組み実績。

33ページ、新大学のキャンパス整備について。森之宮キャンパスを含む2025年度のキャンパス構想を記載。森之宮メインキャンパスには、基幹教育、文学部、リハビリ学、生活科学部、阿倍野は医学と看護、杉本には理学と社会科学、中百舌鳥には工学、農学、現代システム、情報学、りんくうには獣医学、梅田サテライトに都市経営。事業規模は推計1000億円(財源はキャンパス一部売却)、

1期としているが、新大学の最終形は、中長期の街づくりと連動して検討していく。キャンパス整備が段階的とならざるを得ないので、実験設備、ライブラリー、移動などの課題があるが、教育研究に支障が出ないようにしたい。府、市と連携したい。新大学に向けた施設整備、スケジュールは大変厳しくなっているので府、市のご協力を。

34ページ、大学統合による効果。35ページは新大学が重点的に取組む指標向上の目標。36ページ、新大学の数値を合計したデータで、学部入学定員数は国公立では大阪大、東京大に次ぐ3位。3位にふさわしい大学になるよう努力したい。ご協力を。最後の37ページは、統合の取組経過をまとめたもの。今後、20年秋に文科省への設置認可申請、22年4月の開学に向けて法人として全力で急ピッチで作業をすすめていきたい。

この基本構想は、新たな良い大学、選ばれる大学、大阪、世界に貢献できる大学をめざして法人としてまとめたもの。今後とも、ご支援・ご協力を願いたい。

上山信一・特別顧問が、「選択と集中を忘れない、外部機関との連携を前提とする」という文書を紹介しながら発言。

 大学統合には、これまでいろんな形で参加してきたが、「基本構想」(素案)がまとまって大変よかった。とくに、「2つの新しい機能」(10ページから)について、スマートシティの具体的研究の中身だとか、パブリックヘルス、認知症など、どういう分野を中心にやるのか、2つの新しい領域について相当研究された痕跡がうかがえる。実に喜ばしい。

 新大学の構想がでたのが2013年、その後、両大学の改革努力があり、新法人になり、いろいろ変化してきたが、できたこと、まだできていないことがある。できていない部分を先回りして書いたのが、この資料。表題に、説教がましく書いたが、ほっとくと横並びになってしまう。両大学とも、似たような規模の立派な大学なので、ほっとくと何でも対等、横並びになりがちだ。なので、「選択と集中を忘れない」ことが大事だ。それから規模が大きくなると、なんでも自分たちで出来てしまうと思いがちだが、グローバルな大学間競争にてらして、もっと大きな大学は山ほどある。その意味で「企業や行政との連携を忘れてはいけない」、そういうポイントを書かせていただいた。

 今回の基本構想は法人としての案であり、今後、大阪府・市も入って、ブラッシュアップし検討してほしいこと、特に知事・市長に申し上げたいことが4点ほどある。1つは、2つの新機能、従来型の教育、研究以外の社会貢献の部分、「都市シンクタンク」と「技術イノベーション」の部分を作っていくことが新大学の最大の意義だと思うが、その際、選択と集中を相当考える必要がある。新しい機能のなかの選択と集中は相当考えられているが、既存の学部の再編とか、重複分野の統合については、なかなかやりにくいので後回しになってしまうのではないか。そこを統廃合して「人と金」を捻出しない限り、すべてのことを広く薄くやることになって、いまより手薄になってしまうリスクがある。資料3ページに、2013年の「新大学構想」(矢田座長)で「選択と集中の視点から、重複部分を統合・再編する。そこから生み出された資源を、強みを生かせる分野に集中投入する」とあるが、こういうメリハリが大事。今回の構想には、ここが見えない。新分野のところではメリハリづけができているが、従来型の大学の部分にどういうメリハリつけてゆくのか、なかなか書きづらいのか、全部書くべきでないのかもしれないが、ここがよく見えない。この分野はやらない、この分野に「人と金」を張り付けるとか、法人の経営の意思をしっかり示す必要があってしかるべき。

(2つめ)そうやっても足りない部分、ノウハウも金も人も、足りない部分はいっぱいあるので、外部機関との連携をもっと探求する必要がある。府大と市大が仲良くやるのが連携ではない。世の中どんどん動いているので、企業や行政と連携していかないと進まない。一番重要なのは、外部からの人材登用、若い先生の登用、企業出身者を幹部に登用すること。2つのちがったものが交わることもいいのだが、それだけでは世の中をつきぬけるところまで到達しない。大昔は、「2重行政の廃止」みたいな観点からスタートしたのだが、世の中の動きが早くて、重複の排除どころか、新しい機能の探求というところまで課題がシフトしているので、企業や行政との連携が肝になってくる。

(3つめ)その応用問題として、森之宮キャンパス。事業費1000億円と書いてあるが、そんなにかかるのか精査が必要だ。これは従来型の公共事業の発想での試算でしかない。例えば、校舎建設とかにコンセッションとか、PFIが使える時代になっている。キャンパス全体、エリア全体を大学だけで管理する必要もなく、エリア全体はデベロッパーが開発して、住宅や商業施設があっても構わない。海外では大学自体がデベロッパーみたいなことをやっているが、そんなことができないのなら、民間デベロッパーがエリア全体を開発して、校舎に大学が入居することにすればよい。そうすると1000億円もいらないし、投資したお金にプラスアルファで新しい形で収入をもたらす、あるいは土地の価値を高めてゆく開発をする。駅からの導線とか容積率のみなおしをやるべき。従来型の公共事業は時代遅れだ。

(4つ)シナジー効果について、まだまだ研究しなければいけないが、数値目標までは書かれていない。ともすれば、2つ足したら神戸大学並み、というところで思考停止になっている傾向があるので、足したらデカい、凄いというところで話を終わらせてはいけない。神戸大の規模をもったら、質的にどれくらい凄いことになるのか、具体的に探求していかなければならない。

あと1か月くらいあるので、府、市、法人の3者で磨いていただきたい。

●このあと意見交換。

松井市長―上山顧問からお話があったが、森之宮計画については、大阪市の全体計画があるので、上山提案も含めて、高橋副市長のところで、森之宮地域にどういう形で大学を構えれば効率がよいのか、大学がどう費用負担するのか、検討してくれますか。

高橋副市長―上山顧問がおっしゃったように、事業費1000億円を圧縮するために民間との連携が大事。関係者と森之宮全体の絵をかいて、近隣の企業者と相談したい。企業者が参入しやすいように容積率をどのように緩和するのが大学と相談したい。

松井―2025年にキャンパス設置に間に合うように工程表を作ってください。大学側にも、府・市におんぶに抱っこだけだはなく、いますぐではないが、応分の負担を求めていきます。府と市の負担、大学法人の負担を求めますので、その費用をどうねん出するか考えてもらいたい。

西沢―相談させていただきたい。ただ、民間が入るには、いま予定しているキャンパスが狭くなってしまうので、民間が入りにくくなる。もう少し広がると助かります。

松井―容積率がひろくなるよう、高橋副市長のところで考えてもらいます。

西沢―ありがとうございます。

吉村知事―森之宮にメインキャンパスという場合、入ってくる企業と一緒に考えることになると思うが、なぜメインキャンパスにその学部を設置するのか考える必要がある。高橋さんところで検討するにしても、なぜこの学部なのか、答えが要る。もっと突き詰めると、なぜ我々が大学を持つのか、それは大阪の発展のためであり、都市シンクタンク・技術インキュベーション機能をもった大学をめざしている。メインキャンパスにどの学部が、どういう理由で入るのか、検討を深めてほしい。あと、上山先生がおっしゃった、足し算だけでなく引き算が大事で、引き算はむつかしいが、経営の判断が大事だ。同じように重なっている部分と、1足す1をそのままにしない、経営者として大変なことだが、やならいとダメだと思う。その基準は公立大学の役割、理念にてらして考える。改革は「痛みをともなう改革」も考えなければいけない。

西沢―新法人になったばかりで、両大学のすべてのことができているわけでない。これまで、両大学で検討してきたので、引き算は難しかったのではないか。今回、1法人になったので、そういったことをふまえながら新大学を想定しなければと思う。来年10月の文科省への新大学設置の申請をだす際に、教育組織の組織票を提出しなければならないので、そのことも踏まえらがらやる必要がある。(引き算を)すぐにというわけにはいかないが、構想は考えておきたい。

荒井副知事―大阪の成長に資するとか、森之宮キャンパスのこと、スケールメリットだけではダメだとか、上山顧問や西沢理事長の言いたいことの背景を考えて、府も市もいっしょに考えていく必要がある。大学から出していただいた基本構想を、役所にしかできないこともあるので、いっしょに考えていきたい。岡本部長よろしく。

西沢―これは大学としてのクレジット版です。これから府・市・法人3者のクレジット版にしてゆくものと認識している。

松井―先の堺市長選挙の時、「中百舌鳥キャンパスがなくなる」というデマ宣伝がやられたが、「中百舌鳥は工学部、農学部の拠点になる」と反論した。新大学は堺市にも貢献することになる。オブザーバー参加の堺市長も一言どうぞ。

永藤堺市長―大学統合が、ようやくここまで来たのかと感慨ふかく、期待している。中百舌鳥に工学部、今回、情報学部も新設していただけると喜んでいる。堺市としても新大学に貢献していきたい。中百舌鳥駅には堺市の産業施設もあり、その在り方、活用、連携、学生たちの受け皿になるよう考えていきたい。

吉村―高橋副市長を中心に、森之宮の街づくり構想が重要なキーになってくると思うので、高橋さん中心に団結して、メトロ、JRとも連携してすすめてください。

高橋―森之宮スマートシテイの中で大学はどうあるべきか検討したい。

西沢―森之宮地域でスマートシテイの具現化を考えていきたい。

●最後に、府大・市大の統合については、大学法人が提案した「新大学基本構想」を、本部長(吉村)、副本部長(松井)の意見・指示も含めて、府、市、法人の3者で、精査し、成案化にむけた検討をすすめていく、と確認された。

→会議の動画2:00以後が大学問題  →新大学基本構想

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