税理士登録の申請について、私は2度面接に臨んだ。通常面接は1回で15分程度世間話をして終わり、ということも多いようだが、私の場合それぞれ1時間半、合わせて3時間に及んだ。
問題は1回目である。誰でも登録調査委員会の先輩税理士なら、法律家であり税理士法・税理士登録についての精通者であると思うだろう。それが第1の間違いだった。私といえばその時まで税理士法を精査したこともなく、面接にあたって改めて読み直すこともしなかった。これが第2の間違い。
まず「登録調査委員会」なるものは税理士法上の組織ではない。各地方の税理士会が申請を受け付け、その申請について調査するところではあるが、調査以外何らかの権限を持つところでは本来ない。近畿税理士会の会則に、登録に関し「登録事務の一部を行う」「必要な調査を行う」とある。また登録調査委員会規則には「会長に報告する」と定めている。建前は「事務・調査・報告」をする機関であり、報告を受けた近畿会会長は日税連に進達する権限しかないハズである。
しかし、実際のところは私が受けたように申請の「取り下げ」を慫慂するのが、登録調査委員会のお役目なのだ。「登録審査会で登録を拒否されるような申請書を日税連に進達できない」と二人の面接官(K氏及び氏名不詳のB氏)は言ったが、「進達する・しない」は彼らの権限ではない。権限がないからこそ「取り下げ」を要求したのだ。「取り下げ」は申請者の自主的な行為のはずである。私の申請書に取り下げる理由はない。なかったからこそ、法に根拠のないことを申請者に述べ、逆に法に定められた申請者の権利を告げず、権限外のことをなそうとしたのだ。そのうえ、申請者を貶め、「取り下げ」という罠に陥れ、責任を申請者自身に押し付けようとした。さらにこの二人は委員会全員の「賛成」を取り付けて「取り下げ」慫慂にとどめを刺そうとしたのだが、これは委員全員の「資質」を疑わしめる結果になってしまった。
この1回目の面接は「無法」の場だった。2回目の面接ではあれほど自信を持って述べていた「登録拒否の見通し」も「取り下げ」の要求も、一言も口にできなかったのだ。(2012.9.30)