行政書士会の登録証授与式に出席してきました。出席者は18人。高齢の方(私を含む)から青年の方までいらして、意外に中高年と見受けられる方が多いと思いました。税理士の授与式と比べてこじんまりとしていて、新入会員の懇談時間も設定されていました。その中でそれぞれ専門分野や仕事への思いを語られ、よい刺激になりました。行政書士業務も頑張ろう!
行政書士会でも税理士会同様、「表裏一体」とかで政治連盟の加入を促されました。総選挙前ということで、その意気込みも伝わりましたが、今回も私は「パス」。今でこそこの手の政治連盟には「入って当然」のニュアンスのもと、一応「入らなくても結構」の一言が付け加わっていますが、この背景を知るに及んで「お付き合い」で入るものではないと確信しております。
背景とは、牛島税理士訴訟の顛末です。1979年、熊本の税理士牛島昭三氏は、税理士会が税理士政治連盟(形のうえでは税理士の任意団体とされるが、当時は、税理士会の会員は同時に政治連盟の会員とされるという表裏一体の団体)への寄付に充てるための5000円の特別会費を拒否したため、その後税理士会の選挙権・被選挙権を奪われました。牛島氏はこれを不当として裁判に訴え、以後17年間、地裁・高裁・最高裁で審理され、原告の勝訴のうえ、最終的に解決しました。この裁判の焦点は、①税理士会が寄付することが会員の良心の自由を侵すことになるのか。②税理士会の政治活動はどこまで許されるのか・税理士会が政治献金をすることができるのか、という点にありました。牛島税理士は5000円の特別会費を拒否することによって、税理士会からの除名・税理士業務の取り上げの危険をあえて行ったわけです。
この結果かちえた最高裁の判決は「…特に、政党など(政治資金)規正法上の政治団体に対して会員の寄付をするかどうかは、選挙における投票の自由と表裏をなすものとして、会員各人が市民としての個人的な政治思想、見解、判断等にもとづいて決定すべき事項であるというべきである」として、税理士会が多数決原理で会員に協力を要請しても、強制加入団体であることからその協力には限界があり、そのうえで「選挙における投票の自由」に踏み込んで論じています。
今日の政治連盟が、事実上の贈賄である献金をしているのかは知りません。勧誘のリーフレットに牛島訴訟の記載はあるものの、この事件の内容やこの事件をどう教訓としたのかの言及がありません。民主的な税制や税理士制度を育てるために、個々の政治家のために後援会を組織だって作ったりする必要があるのでしょうか。(2012.11.21)
牛島税理士訴訟最高裁判決はこちら
最近の近畿税政連の大会議案(平成24年度)によれば、「(会費の)収納率については、既会員の収納率が前年度の42.44%から41.06%に減少し、新入会員を含めた全体の収納率は42.44%から41.46%となった」とあります。この数字の「分母」は、どうも税理士全員のようですが・・・?「既会員」と「新入会員を含めた全員」とをわざわざ区別して収納率を論じる意義は?(2013.10.16)
「税理士政治連盟の国会議員観」は→こちら