2012年4月24日、私の携帯に「申請書を登録審査会に進達する」とK氏から電話があった。実に最初の面接から3カ月後である。ただし、「登録審査会がどう判断するかはわからない」という。
毎年、約1000人が試験合格し、OB・会計士などからの申請を含めて2300〜2400の登録審査を審査会が一人ひとり詳しくできるのだろうか。事実上、各税理士会の登録調査で登録の適否が判断されていると言っていいだろう。私の登録についてはK氏の本意ではないことがその言の端から感じられた。この連絡を受けて、私は税理士法上の権利を行使するべく準備を始めた。「弁明の機会」が与えられた場合に、ただちに対応すべく、弁護士との打ち合わせに備えて、自分なりに論点を整理することにした。この一連のブログの記述もその延長線上にある。
もっとも、税理士制度の歴史のなかで登録拒否及び登録拒否を前提とした弁明の機会が与えられた事例があったのか、私は知らない。税理士登録に関するネット上の言説も、一部を除いて、匿名でしかも申請者の立場を擁護するものがない。日税連の「登録の手引き」が申請者の権利という視点を全く欠いたシロモノであるだけに、公にもなっていない登録調査委員会の調査がどれだけ公正なものでありうるのか、疑問である。私が受けたような委員会による不当な申請の取り下げ強要による権利侵害が多数あるのではないかと、考えている。
私の混沌とした思索の彷徨のなかで指針を与えてくれたのは、故北野弘久教授の「税理士制度の研究」だ。「納税者の権利を擁護する税金問題に関する法律専門家」である税理士の「独立・公正」な立場とは、何よりも税務当局との対抗関係において意義がある、という。税理士登録という入口において無法・不当な扱いを受けたが、その態度の根底において委員会諸兄の「独立・公正」な立場とはほど遠い体質があるのではないか。(2013.1.18)
つづく「人権尊重」を口にした登録調査委員会