大阪府・市は6月に行った「新大学ビジョン(案)についてのパブリックコメント」の結果を9月19日に公表しました。大阪府に17人・25件、大阪市に34人の意見が寄せられました。「意見」の大半は府市両大学の統合について反対・疑問・拙速ではないかというものでしたが、「統合を前提とする」府市当局には、全く届かなかったようです。同時に公表された「新大学ビジョン」は、4月に発表された(案)に、(案)の表記が無くなっただけのものでした。一字一句の変更もありません。
一応、「意見」に対して「大阪府市の考え方」が対置されて公表されています。私の意見も三か所抜き書きして紹介されていました。
「府市の考え方」には私の疑問に答えるものはありませんでした。たとえば、「都構想」との関連には一切触れていません。「100億円を超える税金を支出していることの、・・説明責任を果たす必要があると考えて」いながら、統合による支出については何の説明もありません。「統合によって新大学にいくらの税金が投入されることになり、うち府市の負担はいくらになるのか?」という私の問いについては紹介も回答もありませんでした。「ダウンサイジングによる“リストラ案”とはなっていません」と新たな言い訳を持ち出し、「統合によるシナジー効果を発揮する」と重ね重ね言うのみでした。
「考え方」では「持続的に改革を推進できる環境を築くことを目的とし、新大学では理事長と学長の権限を強化します」としていますが、ここでも「大学の自治」や「研究の自由」は全く視野の外のようです。というよりも、これにはかたくなに触れたくないようです。市長の「学長は市長が決める」発言や、第4回構想会議で設置団体の長が任命する理事長の権限強化の方向を見れば、大学への政治介入の受容を強いるものとなりかねません。特定の「成長戦略」に大学を奉仕させようとするものであると、重ねて指摘せざるをえません。(2013.9.22)→「新大学ビジョン(案)」のパブコメに応募しました