日税連の機関紙「税理士界」2月15日付(第1313号)は、コラム「源流」に「税理士登録事務と税理士法改正」という記事を載せている。税理士法の改正案の項目のなかに懲戒免職者等となった公務員に対する登録拒否事由が盛り込まれたことについて、「今後は、懲戒免職者だけでなく、税理士法に定める欠格事由に該当する者等についても、登録調査の結果によっては、税理士の職責に照らし税理士の適格性を欠く者として登録を拒否できることになる。」と指摘している。
今回の改正案では、税理士法第4条で挙げられている欠格条項のうち、新たに退職金の減額の処分を受けた者でその処分から3年以内の者を加えたというもの。これまでは懲戒免職者が対象となっていたものが、退職金を減額する処分を受けた者に拡大しようというわけだ。さらに、法24条の(登録拒否事由)にこの処分を受けてから3年を経過したものについても「適正を欠くおそれがある者」として、登録を拒否できるとしている。なお、「おそれがある者」の対象は、これらの元公務員だけでなく脱税者その他の元刑事犯にも及ぶことが明文化されようとしている。
「源流」氏の議論は、法24条(6)の「適正を欠くおそれがある者」(7)の「信用又は品位を害するおそれがあり、…適格性を欠く者」の範囲が拡大したかのように解釈しているが、果たしてそういうものなのか。法24条のうち、「(1)から(5)項までの事由は、客観性があり事実をもって証拠づけることができる。しかし、(6)及び(7)については、主観的な要素が大きく、もしこの条項をもって登録拒否とした場合は、認識の相違による争いが生じる可能性を否定できない」(日税連編「実践 税理士法」)との指摘がある。(6)において「心身に故障があるとき」に元刑事犯等の申請者を加えて「おそれがある者」とする、今回の改正は恣意的な登録拒否の可能性の拡大を促すものだ。
「源流」氏は「欠格事由」といい、「欠格条項」と「登録拒否事由」を混同している。また、今回の改正は、元公務員だけを対象にしているのではない。これまでは、法24条(6)(7)の運用は避けられてきているように見える。事実上は「申請の取り下げ」をウソを交えて登録調査の段階で執拗に迫る、方法がとられてきた。これは私自身の登録調査の過程での事実と実感だ。「源流」氏は恣意性・主観性批判を考慮してか「指針等を作成し」と提案しているが、「指針」などという立法行為を許してはならない。
登録申請者の権利を認めず、悪意のなかにさらす現在の登録調査の実際を変えなければ、公正な登録手続きとはならない。(2014.2.25)