軍事研究に反対!大学前で宣伝

「軍学共同いらない!市民と科学者の会・大阪」は、2024年410日大阪公立大学・中百舌鳥キャンパス門前で、4月11日杉本町駅前で「学生・教職員・すべての大学関係者のみなさんが『軍事研究』反対の声を上げ、大阪公立大学が直ちに『軍事研究』を中止・撤回するよう求めましょう」と呼びかける宣伝行動を行いました。市民と科学者の会メンバーが、「軍事研究に3度も応募・登録したのは大阪公立大学だけ」と告発し、「防衛装備庁の『安全保障技術研究推進制度』は、…政府による研究への介入が著しく、問題が多い」とする2017年の日本学術会議「声明」をうけ、多くの大学が防衛省委託研究に応募していないことを知らせる「ビラ」を手渡すと、「えー、大学が軍事研究とは」と驚き、ビラを受け取る学生らの姿がありました。

‖緊急声明‖
大阪市を廃止し、大阪市立大学をなきものにする「大阪都構想」には反対です!

 「大阪市廃止、5特別区に分割」(いわゆる「大阪都構想」)の賛否を問う住民投票が5月17日に行われます。私たち大阪市立大学の存続・発展を願うものにとって住民投票の結果はたいへん気がかりです。橋下市長は、市立大学について、「キャンパスは残るが、府立大学になる」と言いました。その口調は市大の在学生、教職員、卒業生ら関係者の心情に思いを致さない軽いものでした。大学の統合再編は、二つある箱ものを一つにすればいいという単なる器の議論ではありません。先人の奮闘、努力のうえに築かれ、今に至るかけがえない歴史と伝統、学風、学問研究水準こそが大学の本領です。二つの公立大学を「二重行政」とみて、たんに解消をはかればいいというのは、あまりに一面的で無責任、もったいない話です。
橋下市長が、「二重行政」解消が「都構想」の目的だといい、まず二つの公立大学をあげ、大阪市を解体して、市大、府大を統合することでムダを解消するなどと言っているのは理解に苦しみます。大学統合のために大都市大阪を解体するというのでしょうか。こんな話でしか「都構想」のメリットが語れないというのは驚くばかりです。

 橋下市長は、「首都大学東京の運営費は140億円、府大と市大は計200億円で、分不相応だ」といいます。しかし、富裕自治体の東京都は首都大学東京の運営費の大部分を負担していますが、市大、府大は運営費の多くが国からの交付金であり、大阪は東京に比べてはるかに少ない負担で、市大、府大あわせて二倍近くの学生が学んでいます。市大、府大が「東京に比べて負担が大きすぎる」というのはまったくの偽りです。
 国公立大学の数は、東京13、北海道12、愛知7、福岡7、京都6、兵庫5、広島5、神奈川4、大阪4。統合されると大阪は3校になります。これで大都市大阪がふさわしい高等教育・研究環境を備えているといえるでしょうか。市大、府大は創立以来、市民、府民に、比較的安い学費で、自宅から通える、貴重な高等教育の場を保障し、大阪の知の拠点として、経済・文化・科学技術の発展に貢献してきました。橋下市長も「大学がある街は活気づく」といっています。この大学を減らすことは、市民、府民、そして受験生の願いに反するのではないでしょうか。

橋下市長は「大学をまとめて規模を大きくし強力にする」といいます。関西には規模の大きい大学がいくつもあるなかで、市大が一定のレベルを維持し、評価を得てきたのは、先人の奮闘と努力によるものであり、規模がすべてではありません。ノーベル賞を受賞した南部陽一郎さんや山中伸弥さんは、市大時代に「自由を満喫できた」「白紙に書けた」と振り返っています。学問・研究の発展にとって、憲法が保障する学問の自由、大学の自治こそ重要と考えます。橋下市長が「学長を選ぶのは市長」「教授会がしゃしゃり出るというばかげたやり方は認めない」というのはそれと相いれません。
あと先考えない大阪市つぶし、「大阪市立大学」をなきものする「都構想」には反対です。

2015年4月30日 大阪市立大学の統合問題を考える会
連絡先:仲本和明 072-941-7932

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同窓生で大阪市役所OBの池上さんが次の呼びかけをしました。転載します。

大阪市立大学、大阪商科大学、市立都島高専、市立女子専門学校、市立医科大学の    

卒業生の皆さん 

このままでは、2017年4月1日には 

大阪市立大学は消滅します! 

5月17日(日)には、特別区設置協定書の承認(いわゆる大阪都構想ではない)の住民投票が大阪市民を対象に行われます。承認されれば私達の母校である大阪市立大学は特別区の設置の日2017(平成29)年4月1日以降消滅します。4月15日住吉区の住民説明会で市長は「市大はキャンパスは残るが府大になる」と公言しました。

1 協定書本文で「大阪市民が長い歴史の中で築き挙げてきた貴重なものであることに鑑み」と記載、ところが天守閣、中央公会堂を初め大阪市の貴重な財産の殆どが大阪府に合法的に没収されます。土地だけで約5兆円の時価。

2 別表で「大学関連事務(大阪市立大学):設立団体として運営交付金の交付、法人の管理等は、→大阪府の事務」と記載。この一行の文言で市大が府に移り、府大に吸収されます。企業の場合でも対等でなく吸収合併された後の吸収された会社員の姿を思いおこして下さい。惨めなものです。

3 協定書が認められると2年後の4月には、大阪市はこの世から消えます。地図にも表示されません。同時に130年有余(明治13年創設の大阪商業講習所が前身)の伝統を持つ大阪市立大学も消滅し、二度と復活しません。

4 橋下市長は、「狭い大阪府域内に、公立の総合大学も府立と市立の二つ。東京都でも首都大学東京の一つ」彼一流のいつも自分に都合の良い例だけ示します。

5 近くの京都、兵庫県を例に取れば、264万人の京都府は、公立大学3校。559万人の兵庫県は4校。府県と指定都市が設立した大学があります。府は887万、市は267万人、二つあって何が問題なのでしょうか?

6 橋下市長は公立大学に投じている税金は、府市合計で2百億円と言い、如何にも市民、府民が全額負担していると、住民に誤った情報を伝えています。運営交付金の約9割が国からの交付金。税金は僅かです。

7 市大は国際、国内比較でも公立大学トップを走っています。

「ARWU世界大学ランキング2013」では、世界の大学の中で、市大は401位から500位までの間、公立ではただ一校入っています。首都大の名前はありません。「QSアジア大学ランキング2013」は 市大は74位、公立ではトップ。府大は121位。首都大は94位。.我が市大は、在校生、先生方、卒業生にとっての誇りです。

8 国内で見ると、専門誌東洋経済「本当に強い大学総合ランキング(教育力;就職力;財務力で見る)」では、市大は19位、総合大学として公立ではトップ。府大も34位で頑張っています。

9 唯一公立でトップを走る市大が、単に地域が狭い、機能的な棲み分けが無いという、ただそれだけの理由で、なぜ府大と統合(住民投票が通れば吸収合併)されねばならないのでしょうか!

あなたの一票、ご家族周りの方々の一票が、市大の行く末を、後輩たちの将来を決めます。知人友人に是非呼びかけて下さい

協定書に反対し投票用紙に「反対」と書いて、

我が大阪市立大学を守りましょう!

大阪市大・府大の「新大学推進会議」は2015年2月27日、「新・公立大学」大阪モデル(基本構想)を発表した。全文は→こちら

2015.2.24「日経」報道

うめきたに新キャンパス 府立大・市立大統合で構想案

 統合予定の大阪府立大、大阪市立大は23日、新大学推進会議を開き、「大阪都心にキャンパスを展開する」などとする新大学の基本構想案をまとめた。統合時期は未定だが、新大学の開学に合わせ、新たに大阪の中心部にキャンパスを設置し、国際交流や研究の拠点とする。JR大阪駅北側の再開発地区「うめきた」の2期区域を想定しているという。
 新大学の理念は「大阪の発展をけん引する『知の拠点』」。グローバル人材の育成などに取り組むほか、社会人大学院「都市経営研究科」(仮称)を設置する。統合の具体的なメリットとして健康科学や創薬、環境などの分野での研究、教育、地域貢献を挙げた。
 両大学は今後、基本構想案を大阪府、市側に提示する。来年4月の統合を目指していたが、関連議案が市議会で否決されるなど統合時期のメドは立っていない。
 

(注)見出し・記事中にはキャンパスの所在について、想定として「うめきた」が挙げられているが、構想案には具体的な場所は特定されていない。

NEW!! 3月5日、大阪市会・都市経済委員会で北野妙子議員(自民)が質問。動画は→こちら 関係部分は18分〜36分

NEW!! 2月27日の大阪市会本会議で、OSAKAみらいの福田賢治議員(旭区選出・民社協会)が、代表質問の中で、府大と市大の統合問題について、質問しています。 →こちら このうち、大学関連部分は、49分〜59分50秒まで。

 昨年(2013年)の大学統合関連議案の議会での否決から1年となる11月25日、大阪府市統合本部会議は市大・府大の「統合」のみを議題に開かれました。出席者は両首長、上山信一・堺屋太一両特別顧問、両大学の学長等の模様。「模様」という音声しか配信されなかったためです。発言者も特定できないところがあります。

  最初は最近発表された両大学でまとめた「大阪モデル」がたたき台になりました。上山氏(新大学構想会議委員)は、大学からのヒアリングで「単独ではやっていけない。先端的なモデルを追及したい」とかの意見が特に若手から出ているような報告がされていました。

  市長は初等教育の充実をはかってきたことを得々と述べ、基準財政需要額について「机上の計算である。『需要額』どおりにやらなければならないということはない。それ以上のことをやっている。賠償金なども払わねばならない」とお門違いの発言も。とくに神戸大との比較に焦点を当て、神大で180億円、大阪府市大で220億円という交付金の額をあげて「プラスアルファ」はあるのか、と提起をしました。

  これに対し、両大学学長らは「交付金」の性格や会計の処理の違いを指摘しつつ「40億円の差異について勉強したい」というにとどまりました。上山氏は、神大との比較は学部ごとや「改革」のプロセスと比べるのが妥当ではないかと指摘。

  府知事は、ランク30位くらいのがふたつあるより一つでトップクラスになる方が大阪に貢献できる大学になる、スケールメリット生かせる、という発言。

  堺屋氏は、府大・市大は大阪文化では知られているが全国的話題とならない。カネが集まる、世界から注目される大学になってほしい、など。

  橋下市長は、「大学の価値に見合う税の投入を否定するものではない。交付金を増やすのは無理。絞るところは絞る必要があるという認識だ」と矛盾する発言。そのうえ、「議会には市大を抱えておいたらいい、という者がいる。大学サイドから議会に説明してほしい」という虫のいい要求も。去年の議会での否決は「統合の年月日を入れたために統合ありきになってしまった」と「反省」。さらに「大学統合は大都市制度・政治状況とは切り離すべき」とし、2-3月の議会で中期目標について議案を提出する意向を表明しました。松井知事も「議会もこの会議に出席すべきだった。お金の話だけをしているのではない。大学側が議会にプレゼンをしてほしい」、(議会が聴きいれやすいように)わたしら(知事・市長)は傍聴席に座っていてもいい、とまで言いました。「一度否決されているので」と断りながら、具体的にこの「プレゼン」について議会各派の個別の説明会や政調会の設定を検討する指示をして、会議を終わりました。

NEW!! 第26回大阪府市統合本部会議の動画は→こちら

NEW!! 議事概要は→こちら

 大阪市立大学の統合問題を考える会」は、「大阪府立大学問題を考える会」と協力して、「大阪府立大学と大阪市立大学の拙速な統合はやめてください」の「要請署名」活動にとりくみました。署名は、2015年6月3日までに大阪市長に11492筆、大阪府知事に11682筆、それぞれ提出しました。2014年9月9日の署名提出の様子は→こちら  2015年6月3日の署名提出の様子は→こちら

要請署名「府立大と市立大の拙速な統合はやめてください」へご協力のお願い

 橋下徹大阪市長と「維新の会」は、「大阪都構想」の見通しが立たなくなっているにもかかわらず、大阪市立大学と大阪府立大学の2016年(平成28年)度の統合をやめようとしません。「大阪市立大学の統合問題を考える会」は、大阪市長、大阪府知事あてに、「大阪府立大学と大阪市立大学の拙速な統合はやめてください」と要請する署名運動を始めることにしました。この署名運動は、大阪府立大学の卒業生のみなさんらがつくる「大阪府立大学問題を考える会」と協力しておこないます。

 この署名は、市長や知事あての要請署名であり、期限にしばられず、どんどん広げ積み重ねていきます。このとりくみを通じて、市民、府民、また卒業生・大学関係者のなかで、大阪市大と大阪府大の統合には何の道理も利益もないことを世論にできれば幸いです。

 橋下市長が大学統合の理由とする「二重行政のムダ」や「東京に比べて負担が重すぎる」という話は、事実ではなく、実際には大阪は、市民・府民の比較的少ない負担で、首都大学東京の2倍近い学生に高等教育の機会を提供しています。

 大阪の国公立大学数は、いまでも、100万人以上の大都市のある11都道府県の比較で下から3番目。学生の人口比も、進学率も、西日本の経済、文化の拠点都市にふさわしいレベルにあるとはいえません。削減ではなく充実へ切り替えることこそ必要です。

なにより、市大、府大が統合され、比較的安い学費で、自宅から通える、一定レベルの高等教育の場が減ることは、府民、市民の利益に反します。

 今回の大学統合の動きは、大学関係者が望んだものではなく、市民が求めたことでもありません。統合案は、当事者である両大学の関係者は一人もいれず、橋下市長のブレーンらによる「大阪府市新大学構想会議」(会長:矢田俊文・北九州市立大学前学長)が作成しました。橋下市長は、「学長を選ぶのは市長」と、大学の自治を認めようとしません。ものも言えないような寒々とした大学で、のびのびと学問・研究ができるでしょうか。意欲のある研究者や学生が集まるでしょうか。大学の改革にあたっても、「学問の自由は、これを保障する」(憲法第23条)立場が大事だと考えます。

  昨年、大阪市会は、大阪市大生が提出した拙速な統合の撤回を求める陳情書を採択。11月には橋下市長が提出した「大学統合関連議案」を、「維新の会」以外の全会派が反対して否決しました。宮本憲一市大誉教授、小林宏至府大名誉教授、鬼追明夫日弁連元会長、木津川計「上方芸能」発行人ら21氏が「大学自治への介入と拙速な統合を憂慮する」声明を発表しています。市大、府大の教職員組合も拙速な統合に異を唱えています。

 大阪市立大学は、1880年(明治13年)の「大阪商業講習所」設立、1928年(昭和3年)、関一市長の「都市は大学とともにある」理念のもと「大阪商科大学」誕生、1949年(昭和24年)、恒藤恭学長の「文化国家・日本の全体的発展に貢献するとともに、文化的産業都市・大阪市の復興・発展に寄与し、学理探求の自由を尊重することを基本に、理論と実際的応用との有機的な連結を重視する学風を創る」基本理念に基づき、「大阪市立大学」発足――という歴史を刻んできました。いまに至るまで、大阪の学問、文化、知の拠点として、経済、文化、科学の発展に寄与しています。この歴史、伝統、そして学風を、安易に終止符を打っていいのか。これは大阪府立大学も同様でしょう。

 市民や府民に周知されず、議会も反対し、大学関係者への説明も納得もないまま、統合先にありきのやり方で、2つの大学を拙速に統合することは、私たちは黙視することはできません。

卒業生はじめ大学関係者のみなさん、市民のみなさんのご賛同、ご支援、ご協力を心からお願いする次第です。

大阪市立大学の統合問題を考える会

署名用紙はこちら 知事宛PDF  市長宛PDF  資料 大阪府立大学と大阪市立大学の統合は府民、市民の利益になりません.docx

 郵送の場合は仲本事務所までお送りください。

大阪府立大学と大阪市立大学の拙速(せっそく)な統合はやめてください

要請趣旨

 橋下徹大阪市長は、大阪府立大学と大阪市立大学を平成28年度に統合しようとしています。

 大阪府と大阪市に公立大学があるのは「二重行政」で、「東京と比べて負担が大きすぎる」と言いますが、東京都は「富裕自治体」として、首都大学東京の運営費の大部分を負担しています。しかし、大阪府立大学と大阪市立大学の運営費の多くは国からの交付金です。大阪の国公立大学数は、100万人以上の大都市のある11の都道府県でみれば、今でも下から3番目です。

 大阪府立大学と大阪市立大学は、創立以来、大阪の知の拠点として、経済・文化・科学技術の発展に貢献し、大阪の発展とともに歩んできました。統合でこの大学が減ることは、比較的安い学費で、自宅から通える、貴重な高等教育の場を保障してほしいという、府民、市民、そして受験生の願いに反するのではないでしょうか。

 大阪市議会では、大学のキャンパスや財源などの基本問題が具体化されないまま、統合先にありきのやり方に、強い批判と懸念が出され、提案された「大学関連議案」は否決されました。拙速な統合の撤回を求める学生の「陳情書」も採択されています。両大学の名誉教授ら21氏は、「大学の自治への介入と拙速な統合を憂慮する」声明を発表しています。

 府民や市民に周知せず、議会も反対し、学生はじめ大学関係者への説明も納得もないまま、それぞれ歴史と伝統、学風のある二つの大学を拙速に統合することはやめてください。

要請項目

一、大阪府立大学と大阪市立大学の拙速な統合はやめてください。 

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  9月11日、市大「考える会」・地域住民ら9人が市立大学本部を訪れ、「拙速な統合はやめてください」署名を府市両首長に提出したこと、両議会にも要請したこと、を報告しました。市大法人からは法人運営本部・企画総務課の冨宅氏ら二人が応対し、懇談しました。

  法人からは、「今後は主体的に統合に向けて検討していく。合理化というだけでなく、大学が発展していくためにあり方を検討していく。2−3月には詳細なものを出す方向である。検討する時間はあるので、拙速ということにはならないと思う」という説明がありました。

  要請団からは、「市大を無くすなんてとんでもない」「上から降ってわいたような提案で落ち着いて仕事ができない。大学のなかから醸成するような取り組みを」「地域住民の意見も聞いてほしい」「HPだけでなく学生の意見を聞く場を増やしてほしい」「両大学はそれぞれに特色をもっている。それを生かすような統合は難しい」と、訴えました。約30分にわたって意見交換が行われたのち、要請団全員に「大阪市立大学の歴史」(大学資料室編・2011年発行)が贈られました。

  また、市大教職員労組も訪問しました。

* * *

大阪市立大学学長兼理事長 西澤良記 様

「大阪府立大学と大阪市立大学の拙速な統合はやめてください」要請署名の橋下大阪市長、松

        井府知事への提出と要請、ならびに大阪市会、大阪府議会各会派への要請のご報告

 私たち、「大阪市立大学の統合問題を考える会」と「大阪府立大学問題を考える会」は共同して、橋下大阪市長、松井府知事宛の「大阪府立大学と大阪市立大学の拙速な統合はやめてください」要請署名に取り組んでまいりました。

 このたび、要請署名が1万筆を超えましたので、9月9日、橋下大阪市長と松井府知事に、署名を提出するとともに、「拙速な統合はやめてください」と要請してまいりました。同時に、大阪市会、大阪府議会各会派にも、要請をしてまいりました。提出署名数は、橋下市長あて10,903筆、松井知事あてが、11,100筆となっております。

 提出や要請に関して、参考資料として、配布いたしました資料を添付いたします。ご高覧いただければと思います。

    2014年9月11日

 大阪市立大学の統合問題を考える会

世話人 聖城雅夫

大阪府立大学問題を考える会

代 表 野崎 清

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9月9日、市大・府大両「考える会」は橋下市長・松井知事に署名を提出しました。2月以来とりくんできた両首長宛ての「府大・市大の拙速な統合はやめてください」の要請署名は、当日までに、市長宛10,903筆・知事宛11,100筆に達しました。

  両「考える会」と旭堂南陵氏ら府大・市大の卒業生有志20人は、大阪市庁で市政策企画室の担当者に面会、署名を提出するとともに要請書を読み上げました。また、要請団の各自がこの署名に対する思いを語りました。「統合によって1+1が1.5にしかならないように思う。それぞれの校風がある。うまくすみ分けてきた」(旭堂氏)「貧しい学生を育てていくのも自治体の役割。

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大阪の公立大学は少ないくらい」「社会事業短大は府大に統合されてしまっているが、卒業生は府の福祉事業に貢献している。それが評価されていない」「この不景気で、他県の大学に子供を行かせる余裕がない。統合は絶対しないで」と訴えました。 議会各会派にも署名提出とその趣旨を説明するため訪問しました。残念ながら定例会初日ということで、一部の会派を除いて直接議員との面会はできませんでした。

その後、大阪府庁にも同様に知事・議会への要請を行いました。府の対応課の私学・大学課の担当は署名提出の受け取りにあたり、統合スケ

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ジュールの延期について、「議論の状況を踏まえ、府・市両大学4者が協議してあり方の検討を進める」旨の説明がありました。

 両議会とも、維新の会が過半数を割り都構想がいよいよ行き詰ってきている中で開会されたばかりのときでした。私たちの要望が署名として形になりました。道理は私たちの側にあります。両首長・議員には会えなかったものの、議会でも維新以外の支持をかちえていると実感した行動となりました。

 また後日、両大学当局・教職員組合・自治会などにも私たちの取り組みをお知らせし、懇談・要請をおこないます。

大阪市立大学の統合問題を考える会は、2014年7月12日に開催された「シンポジウム」への参加を呼びかけました。

「大学の自治を否定する学校教育法改正に反対する緊急アピール」は→こちら

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 シンポジウムは110人の参加のもと開かれ、熱心な議論が交わされました。

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 市大と府大の両「考える会」が共催した講演会は、会場いっぱいの90人が参加して、橋下維新が進める「大学統合」が断念されるまで、署名をはじめとする取り組みを強めることを確認しました。

(講演の要旨)

森裕之教授

 橋下維新が目標としているのは関西州を作るということ。「都」はきえてしまう。都構想は大阪市をつぶすことが目的だ。橋下市長の実行力を世間に知らしめることが目的。そんなことのために市をつぶしていいのか。橋下改革の特徴は「統治機構の改革」・「上意下達の組織改革」だが、この二つが大学統合に収れんしている。

 橋下市長は、「大学の存在感がない」というが、大学に存在感が無くて当たり前。彼の単に面白いだけの話だ。大学の先生は「税金で食っている役に立たない集団」、とくに文系の教授、そこで学ぶ学生は「役に立たない」という。上意下達が機能しない大学がゆるせない、という感覚。

 しかし、公募区長や文楽・慰安婦問題などで彼らに失点がつづいた。さらに水道の民営化や堺市長選の敗北、法定協などで「改革」がとん挫しそうだ、なにか成果を見せたい、その道具として大学統合をすすめようとしている。

 新大学構想会議の視点は、「強い大阪」を実現する成長戦略と「でかくなる方がよい」というものだ。その<提言>を見ても市の「ビジョン」を読んでも「改革」は必要ない、と思える。大学のガバナンス改革というが、本質的に上意下達の大学というものは、その組織は劣化するものだ。大学の統廃合の問題は、大学「改革」についてわかりやすい切り口になっている。

                        「大阪市立大学・府立大学の統合問題と大学改革」レジメは→こちら

小林宏至名誉教授

 大阪の二大学は、東京の役4分の一の純経費で1・9倍の学生に大学教育の機会を提供している。橋下市長の言う財政難は政策的なもので、大学をくっつけたら何か解決するのか。統合によって財政難が打開されるものでは全くない。

              「橋下徹市長による府・市二大学『二重行政』論の的はずれな攻撃」レジメは→こちら

「統合問題を考える講演会」において、府大「考える会」の野沢世話人が行った「活動報告と行動提起」は次のとおりです。

 私たち大阪府立大学問題を考える会は、2009年12月に旧大阪府立大学、旧大阪女子大学、旧大阪社会事業短期大学、旧大阪看護大学の卒業生の有志で結成しました。当時の橋下徹大阪府知事が大学関係者の声を無視して、府立大学の経済学部、人間社会学部などを廃止し、理系特化の大学に変えようとしたことに反対し、母校・府立大学の民主的発展を願って活動してきました。

 また、大阪市立大学の統合問題を考える会は、府大と市大の統合に向けた動きが強まるもとで、2013年4月に卒業生が中心になり結成しました。市大OBとして府立大学との統合問題を考え、意見交流をし、情報の発信、学習会の開催、市大学生や大学院生との交流を行ってきました。

 そして、両会は昨年から合同の世話人会を定期的に開催し、2大学の拙速な統合を許さない立場で活動しています。

 いま、わが国の大学はその存立を揺るがす危機に直面しています。安倍内閣が4月25日に憲法が保障している「大学の自治」を壊す学校教育法と国立大学法人法の改定案を国会に提出しました。学校教育法改定案は、教授会から大学の重要事項を審議する権限を取り上げ、教授会を「学長のための諮問機関」に変質させるものです。国立大学法人法の改定案は、各大学の学長選挙を形骸化し、学長のリーダーシップを確立すると称して、上意下達の大学運営を強めようとするものです。大阪で起こっている橋下・維新の会による府大と市大の統合は、国のこうした危険な動きを先取りするものです。

 こうしたなかで、私たちの両会は「府大と市大の拙速な統合はやめよ」の一点で市民・府民・国民との共同を広げ、統合が中止になるまで活動を展開していきたいと考えています。

 橋下・維新の会による府大と市大を2016年に統合しようとする計画は、彼らの思惑通りにはすすんでいません。橋下市長は「僕は選挙で民意を得た」と盛んに言いますが、その選挙では、昨年の堺市長選挙、岸和田市長選挙で維新候補が落選しました。今年3月の出直し大阪市長選挙は、橋下市長が再選されたものの投票率は過去最低、得票数は前回から半減し、「大阪都」構想は民意を得たどころか、都構想がいかに民意とかけ離れたものであるかを明らかにしました。来年4月に大阪市を解体し大阪都を設置することはもはやできなくなっています。

 橋下市長は、市大・府大の統合は「大学のガバナンス改革の先取り」と位置づけ、教授会が大学運営に関与することを不当であるかのように敵視してきました。教授会の権限を縮小し、無力化する学校教育法の「改正」案は、安倍政権の大学の自治破壊のさきがけを、橋下市長が率先して担おうとしてきたことの証左です。

 西谷・市大名誉教授ら11氏が緊急アピールを発表しました。

<大学の自治を否定する学校教育法改正に反対する緊急アピール>

 日本の大学と民主主義は、いま重大な危機にさらされています。

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 政府・文部科学省は、教授会が審議する事項を学位授与や教育課程の編成等に限定し、教育研究と不可分な人事・予算等を審議させないことで、学長の権限を抜本的に強化するという学校教育法改正法案を今通常国会で成立させるとしています。教職員による学長選挙を否定し、学部長さえも学長の指名にすることを射程に置いています。
 大学は、その歴史を通じて、国家や権力を持った勢力による統制や干渉から学問の自由を守るために大学の自治を確立してきました。大学の自治は、自由で民主的な市民を育成するという大学の使命を果たすために不可欠です。わが国においては、憲法23条が学問の自由を保障し、学校教育法は国公私立大学の別なく「重要な事項を審議するため」に教授会を置くことを定め、教授会を基盤とした大学自治の法的枠組みが整備されています。人事と予算に関する教授会の審議権はその最も重要な制度的保障であり、これを否定する学校教育法の改正は、大学の歴史と大学の普遍的使命に照らして到底認められない暴挙です。
 安倍政権は、財界のグローバル戦略を大学に押しつけ、大学を政府・財界の意向に従属させるための大学破壊を強引に推し進めています。今回の学校教育法改正法案は、教育委員会制度の解体、道徳教育の教科化等と並び、戦後、国民が培ってきた民主的な教育の否定を意図するものです。
 学校教育法改正は、学問の自由と大学の自治を侵害し、国民のための大学を国家目的に奉仕する機関へと変質させるものにほかなりません。人類的課題が山積する困難な時代であればこそ、学術と大学の自由で多様な発展が必要です。私たちは学校教育法改正に反対し、国会で徹底審議のうえ廃案とすることを強く求めます。
 
 2014年4月7日
 学校教育法改正に反対するアピール署名をすすめる会
 【呼びかけ人】(五十音順)
 芦田 文夫(立命館大学元副総長)    

 池内 了 (名古屋大学名誉教授)
 内田 樹 (神戸女学院大学名誉教授) 
 尾池 和夫(京都造形芸術大学学長)
 大橋 英五(立教大学元総長)     
 今野 順夫(福島大学元学長)
 西谷 敏 (大阪市立大学名誉教授)  
 広渡 清吾(専修大学教授、東京大学元副学長)
 松田 正久(愛知教育大学前学長)   
 森永 卓郎(獨協大学教授)
 矢原 徹一(九州大学大学院教授)
 
 この緊急アピールに賛同し、署名される方は→https://business.form-mailer.jp/fms/dc0ab1ea31301

■学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案について(概要)

趣旨

大学運営における学長のリーダーシップの確立等のガバナンス改革を促進するため、副学長・教授会等の職や組織の規定を見直すとともに、国立大学法人の学長選考の透明化等を図るための措置を講ずる。

 概要

1.学校教育法の改正

<副学長の職務について>第92条第4項関係

・副学長は、学長を助け、命を受けて校務をつかさどることとする

<教授会の役割について>第93条関係

・教授会は、学長が教育研究に関する重要な事項について決定を行うに当たり意見を述べることとする

・教授会は、学長及び学部長等がつかさどる教育研究に関する事項について審議し、及び学長及び学部長等の求めに応じ、意見を述べることができることとする

2.国立大学法人法の改正

<学長選考の基準・結果等の公表について>第12条関係

・学長選考会議は学長選考の基準を定めることとする

・国立大学法人は、学長選考の基準、学長選考の結果その他文部科学省令で定める事項を、遅滞なく公表しなければならないこととする

<経営協議会>第20条第3項、第27条第3項関係

・国立大学法人等の経営協議会の委員の過半数を学外委員とする

<教育研究評議会>第21条第3項関係

・国立大学法人の教育研究評議会について、教育研究に関する校務をつかさどる副学長を評議員とする

<その他>附則関係

・新法の施行の状況、国立大学法人を取り巻く社会経済情勢の変化等を勘案し、学長選考会議の構成その他国立大学法人の組織及び運営に関する制度について検討を加え、必要があると認めるときは、所要の措置を講ずる

 施行期日 平成27年4月1日

 学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案 新旧対照表は→こちら

署名運動に活用してください!

 2013年12月6日「市大・府大の統合問題を考える学習会」での森裕之立命館大学教授の講演を冊子にすることになりました。あらためて森先生の労に感謝します。
 ご本人の了解を得て、HPで公開することにしました。

 「大阪市立大学・府立大学の統合問題を考える」 森裕之 立命館大学教授
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  大阪市議会において統合スケジュールを前提とした市立大学関連議案が否決(11月22日)されて以来、大学内外で様々な動きが出ています。

  西澤市大学長は、年頭あいさつにおいて、この市議会の「否決」について「これは、現在の新大学案では、キャンパスの整備、学部・学域の併設など課題が多くもっと現実的なスケジュールにすべきであるといった理由でありましたが、重要な点は、大学統合そのものが否定されたものではないということです」と、述べています。「あいさつ」で「統合・ガバナンス」問題にほぼ半分を費やし、その意気込みを示しましたが、その内実は不安がいっぱいです。

  12月25日には学長が主催し、名誉教授を集めて「説明会」が開催されています。大学総務課にその内容を電話で問い合わせました(1月14日)が、「説明会なので議事録などは公開しない」とのこと。独自に取材してみると、出席者からは、「都構想が行き詰まっているもとで、統合すれば新大学の財政負担はどうなるのか」「大学予算は削られてきた。新大学で増額される保証などないではないか」「統合というが大学内でどのように検討されたのか。設置者がもちだしたものではないか」「国や社会が間違ったとき、これをただすのが大学の役割ではないか」という批判が噴出したことが分かりました。答弁した学長は「都構想が実現し、府・市統合しなければ、法人統合も難しい。財源問題は不透明である。ガバナンス改革を先行させる考えである。今のまま生き残れるのか、厳しい経済状況の下で、大学統合にメリットを認めるものである」と述べるにとどまった模様です。

  また、同日には同窓会などへの説明会も開催され、学生にポータルサイトで意見募集を呼びかけています。この意見募集は後日公開される予定とのことですが、市大HPや総務課の担当者の口の端からは「新大学への期待」の声を主に「期待」していることがにじんでいます(募集は1/24まで)。

  学長選考は、西澤現学長のみが立候補し、学長選考会議は同氏を推薦することを決定しました。学長選考会議の議事録が公開されていますが、学長・理事長分離の議案が否決されたことについて、「ガバナンス」をめぐる「恨み節」と混乱が延々と述べられています。

  なお、卒業生には「大学サポーター」に登録すれば、統合に関する情報をメールで送ってくれます。(詳しくは市大HP「ステークホルダーの皆さまへ」で)

  「大阪市立大学の統合問題を考える会」は、「拙速な統合をやめてください」という内容の署名運動を「大阪府立大学問題を考える会」とともに取り組むべく、準備を急いでいます。

大阪府市新大学構想会議と市大経営審議会・理事長選考会議の委員構成をあらためて、確認してみました。

  大阪府市新大学構想会議 市大経営審議会の外部委員 理事長選考会議
氏名 矢田俊文(会長・北九州市大前学長) →矢田俊文 柏木孝(議長、副理事長・前大阪市副市長)
上山信一(副会長・慶応大学教授) →上山信一 →野村正朗(議長職務代理者)
大嶽浩司(自治医大准教授) →大嶽浩司 →吉川富夫
野村正朗(新日本理化㈱取締役会長) →野村正朗 石河修(教育研究評議会委員・市大病院長)
吉川富夫
(元県立広島大学教授)
→吉川富夫 鈴木洋太郎(  〃  ・経営学研究科長 )
尾崎敬則(弁護士) 生野弘道((医)弘道会理事長) 日野泰雄(   〃  ・工学研究科長 )
  土屋隆一郎(JR西日本元副社長)  

(注) 理事長(兼学長)の選考に関し、新大学構想会議の委員である2氏が理事長選考会議(6名)に選出されています。これは、選考会議の委員を経営審議会と教育研究評議会から同数(3名づつ)選出するという現定款の規定によるもの。11月21日に開かれた経営審議会の会議録によると、「構想会議」の委員である野村正朗氏と吉川富夫氏を外部委員(氏名不詳)が推薦し、異議なく選出されました。ちなみに、この会議に出席した外部委員はこの2氏を含め4氏(他は矢田氏・生野氏)でした。もう一人は柏木孝氏(公立大学法人副理事長・前大阪市副市長)が選出されました。

 経営審議会議長(西澤理事長・学長)は、同日の会議の最後にこう述べました。「経営審議会からの選出者は全員外部人材ということになる。教育研究評議会から選出された3氏は内部人材で占めることになるので、半数は外部人材で占めることになる。これはガバナンス改革の提言を先取りした形になろうかと思う」。柏木氏も実質的な外部委員という認識です。

 また、経営審議会の内部委員は、西澤氏・柏木氏ら7人で外部委員と同数です。

最近の経営審議会・理事長選考会議の議論については→こちら

12月27日に発表された理事長選考会議の告知によると、西澤良記氏が立候補した。立候補者はひとり。

京都大学において意向投票の廃止が企てられている。→2013.12.24京大の自治が死ぬ?総長選挙の教職員投票廃止か 京都大学教職員緊急集会 

NEW!! 経営審議会の外部委員が更新され、大嶽浩司氏が退き、新たに川崎裕子氏(弁護士)が選任された。他の委員は再任。任期は26年4月から28年3月まで。

NEW!! 上山信一氏は大阪府市統合本部の特別顧問、吉川富夫氏と大嶽浩司氏は同本部の特別参与でもある。吉川氏は現在大阪経済大学の客員教授、大嶽氏は昭和大学医学部教授。

府市統合本部の特別顧問・特別参与の名簿は→こちら

市大考える会2013.12.6.jpg

  12月6日、市大・府大の統合問題を考える学習会が市大近くの集会所で開かれ、会場いっぱいの約30人の参加者を迎えました。今後も、統合問題の真相を大学内外に知らせるために、学習会などの取り組みを広げることを申し合わせました。

市民資産としての大学を守ろう  森裕之・立命館大学教授(市大商学部卒)講演

「大阪は貧しい」と恐怖で統治する方法をとった大阪維新の会は、都構想が看板だった。しかし、相次ぐ失点や住民投票などに至るまでに相当な準備期間がいるために、「政治は実行力」を掲げる維新にとっては何か成果が必要になる。その成果を示しやすいのが大学統合だ。表立った反対の声がないことや、外堀を埋められてきたことがある。

「新大学ビジョン」は規模が拡大すれば世界的な競争で勝負できるという単純な物量主義だ。大学改革のとりまとめをするのが経済戦略局とは、経産省が国立大学を所管しているというほどにおかしなこと。

苦しい教育環境を解決するには予算を増やすことしかない。大きな大学になることで「水ぶくれ」を期待するむきもあるが、首都大学東京を見ても、教員はすべて契約制・毎年更新という、恐怖のなかで仕事をせざるを得ない状況がある。

市大は法律を変えてまで設立しようとした関一らの努力の賜物だ。関の精神を将来につなげ、担うものとして市大の設立が考えられた。今言われている改革は、実践や声の積み上げがない机上主義だ。他の公立大学の統合でうまくいったという例はない。

→「講義録」ができました

削減ありきの「大学改革」  井上ひろし議員

市議会での市長との質疑の内容を報告。市の担当者も「市長が理解しているのか不安」という声もある。質疑では「目安」としたが地方交付税と基準財政需要額とはその計算に関連がある。最近24年度、実際の大学交付金は府大で10億円のマイナス(交付金が需要額より少ない)、市大で4億円のプラスで、両大学で府市の持ち出しはマイナス6億円となっている。需要額を下回っている。

市議会での質疑の詳細はこちら

基準財政需要額と運営費交付金の推移.jpg

理念なき「新大学」 ・ 大学内外で交流を   参加者の声

院生 先生方は統合問題を考えてはいるけれど空虚な気持ちが感じられる。ものが言えない忸怩たる思いではないか。

院生 学生の立場として、統合が学生にとってデメリットがあるのか示されていない。学生の姿が見えない。学生目線で話してほしい。

大阪市大の理事長(兼学長)選考が告示されました。
 今回の理事長(学長)選考では、定款の変更ができなかったため、理事長・学長の分離はできませんが、外部委員の増員という点では、さしあたって理事長選考会議委員に外部委員を優先し、内実は先取りして、外部の意向できめられるやり方に変えるというものです。
 大阪市大の理事長(兼学長)選考会議は、22日の大阪市議会都市経済委員会で、橋下市長提案の統合にむけた市大の定款と中期目標の変更案が否決される前日21日に、その選任と議事が行われていました。なお、二つの変更議案は、29日の市議会本会議でも、維新以外の全会派の反対で否決されました。
 市議会は市民の意向を反映する面があります。今回の審議では「統合先にありき」「学内、卒業生の意向をちゃんと聞いてほしい」という疑問点が共通して出されましたが、そういう意見にはとらわれないという姿勢が見えます。
 こういう学内および市議会の意向をふまえないやり方は許されるのでしょうか。
また、学内で、こういうやり方に異を唱える声があがるでしょうか。(T)

 (以下、参考まで関連資料を紹介します)

●21日の市大経営審議会議録から
11 月21 日(木)午後1時〜1時20分  議長は西澤理事長(学長)
 理事長選考会議委員に野村委員、吉川委員、柏木委員を選出。
 (外部委員)地元の財界人でもあるので、理事長選考会議にそういう意見をきっちりと反映させるという趣旨から、野村委員を推薦したい。
 (議長)在阪の財界人ということで野村委員が推薦されたが、いかがか。
 (一同)異議なし。
 (外部委員)法制度に詳しい、吉川委員を推薦したい。
 (議長)吉川委員に参画してほしいという意見であるが、いかがか。
 (一同)異議なし。
 (議長)外部委員ということで野村委員、吉川委員の2人が決まった。それでは、定款第10条第6項に基づき、副理事長及び理事のなかから残り1名を選出することになるが、これについては意見はないか。
 (内部委員)前回、前々回の理事長選考会議においても、副理事長職が委員に就任しており、今回についても、ガバナンス改革についても詳しく、内容についても理解されている副理事長の柏木委員を推薦したい。
 (議長)これまでの事例からも柏木委員が良いのではないかという意見であるが、いかがか。
 (一同)異議なし。
 (議長)それでは、経営審議会からの委員選出については、野村委員、吉川委員、柏木委員の3名で決定とする。これで経営審議会からの選出者は、全員外部人材ということになる。教育研究評議会から選出された石河委員、鈴木委員、日野委員は内部人材ということになるので、半数は外部人材で占めることになる。これは、ガバナンス改革の提言を先取りした形になろうかと思う。

なお、出席外部有識者4名のうち、野村正朗・吉川富夫・矢田俊文の3氏は新大学構想会議のメンバーでもある(矢田氏が会長)。

●第一回理事長選考会議録から
11月21日(木)午後1時30分〜3時20分
 互選で、柏木孝議長、野村正朗議長職務代理者を選任。  (いずれも外部人材)
 理事長選考方法について、従来の手法にとらわれることなく、大阪府市新大学構想会議による「ガバナンス改革について」の提言の趣旨を踏まえ、推薦を受けた候補者から理事長を選考する方針を決定。後日メール会議にて第2回理事長選考会議を速やかに開催し、承認することとした。
 (これまでの理事長選考規程は、 その趣旨で“市大定款に基づき理事長選考会議が行う市大の理事長の選考に関し必要な事項を定めるものとする”とさだめ、本文は「(意向投票の実施)第5条 理事長選考会議は、理事長の選考に当たり、法人内の意向を調査するため、意向投票を行う」というように、記述の大半を意向投票の方法にあてていました)。
 今回は、橋下市長の意向をうけて学内の意向投票を廃止し、選考会議が被推薦者を選考して、理事長候補一人にしぼり、その者を「法人の申し出に基づき」市長が任命するというものです。

 会議録では興味をひく議論もあります。
・意向投票廃止は、「学内でのしこりを残さない」からと理由づけしています。さすがに橋下市長が、教授の意見など聞く必要がないと公言していることはあげづらかったでしょう。
・一方で、「選考会議が落とした人に、どう理由を説明したらいいだろうか。これまでは投票数できまっていたからそれでよかったが」との意見も。
・関係者の共感をえられるかどうかは心配になるようです。
 「意向投票が大学自治のなかで続けられてきた。今回、教員に理解してもらえるだろうか」。
・「今回、異例な人が推薦される可能性はある」「ちゃぶ台をひっくりかえしてしまうとか」「大学は統合する必要がないという候補が出るかもしれない。所信表明は、こちらの設問に答える形にしてはまずいか」。
・露骨ないい方も。「今回は、ガバナンスの先取りだ」。
・定款はどうなるのか。
・継続審議にでもなれば、またややこしい。(……否決されましたけど)

詳しくは「平成25年度第1回理事長選考会議議事録」で→こちら NEW!!
 

 11月22日の大阪市議会・都市経済委員会は、橋下市長が提案した、
① 大阪市大の定款変更案――市大の理事長と学長を分離し、学長は学外者が多数を占める選考会議の選考を経て理事長が任命、また理事や教育研究評議会に学外者多数を登用する。
② 同じく中期目標の変更案――府大との統合推進を明記し、「強い大阪を実現するための知的インフラ拠点として大阪の成長に貢献し」を書き込む。
――この二つの議案を、維新以外の全会派の反対で否決しました。
 討論では、維新以外の会派の討論者は、そろって橋下市長の「統合先にありき」の姿勢を批判しました。
橋下市長はなお、学長選考時の学内の意向配慮をやめること、教授会の役割を軽視する姿勢に固執し、「大学の自治」に挑戦する態度を改めようとはしませんでした。しかし、ご本人の提案が否決されたことはショックでしょう。(2013.11.22)

インターネット録画は→こちら NEW!!

当日の主な議論

西徳人議員(公明党)

現在の兼務型のままでも大学の意思決定において不都合と考えられない。統合を進めるため、地ならしのための定款変更ではないか。市大は十分に機能を果たしている。ガバナンスについて法人評価委員会の評価も高いのに学長・理事長を分離する必要が理解できない。統合のスケジュールを一切変更するつもりがないとの(経済戦略局長の)答弁だが、キャンパス問題・学部学域の併存についてその有益性を明確化できるのか。ランキングにおいても評価が下がる可能性もある。これらの問題に明確にお答えいただけない。見事なまでのないないづくし。この2年でしゃにむに統合する、これを前提とした定款変更に賛成できない。

 11月6日大阪市議会決算特別委員会で、明石直樹議員(公明党)が統合問題について市経済戦略局・大学支援担当などに質問した。

 明石議員は大学運営交付金の推移を示して、市当局は選択と集中というが大学統合後も運営交付金の確保ができるのか。統合までのスケジュールを見ると相当な無理があり、「統合ありき」の考え方には賛成できない、とした。また、両大学のランキングを示して統合後の推移をどう分析しているのかを問うとともに、首都大学東京がランキングを落としていることを指摘。地域貢献度も大きく落ちており、大学統合が必ずしも評価を高めることにはつながらないとし、具体的にシナジー効果はどう生み出されるのか、と問うた。

 さらに、現在でも両大学の連携は進んでおり、統合ではなく連携で十分ではないかとし、具体的な大学統合に至る課題を二点指摘した。一つは、キャンパスの併存・移転の問題である。もう一つは学部・学域が併存する問題である。学生等にとって有益・適切であるという説明ができるのか。形式的な合併ではなく新大学となるにはキャンパスの一体化は重要な課題である。これに大きな出資がいることをどう考えているのか。

 都構想と同じく初期コストが不明確である。「一法人二大学」も検討すべきだ。市大の教授とも懇談したが、世界に通用する人材を輩出したいという思いだが、法人化後予算は27%削減され、教員あたりも学生数も増えている。明石氏は、統合には人的、時間的、財政的な余裕と両大学の協議と合意が必要であり、新大学が拙速とならないようにとくぎを刺した。(仲本)2013.11.11

明石議員資料

インターネット録画はこちら     質疑の内容詳細     明石議員のブログは→こちらNEW!!  

 11月8日に開かれた大阪市議会決算特別委員会で、井上浩議員(共産党)は大阪府市大学の統合問題を取り上げ、橋下市長の認識を問いただした。

 井上氏は、市大への財源措置は学生一人あたりの単位費用などを計算根拠とした基準財政需要額をもとに、国が大学を管理するための経費を地方交付税の一般財源として交付しているものであることを、市の担当者の答弁を受けて指摘した。また、市長は地方交付税不交付の東京都の首都大学東京と府市大との単純比較はすべきではない。しばしば市大・府大に200億円をつぎ込んでいる旨の発言をしているが不正確ではないか、と追及した。

 この指摘に対し、市長は、自治体は身の丈に合った施設をもたなければならない、大阪で200億円の税投入をして公立大学をもつべきなのか、首都大への140億円に対して、府市大に200億円の税投入はできない、と答弁した。

 さらに市長は、この差額60億円を「住民サービスに振り向ける」という自身の発言について、どこに振り向けるのかという井上氏の問いについて答えられず、「税金に対する感覚は驚愕。もっと勉強しろ」と逆ギレ。井上氏は「(市長は)根本的な理解がない。誰でもわかるスリカエ」と反論。統合計画はただただ経費削減が先にある。市大は現役世代の知的投資・未来への投資である。本来大学の統合は大学の内発的な要求によって進められるべきであると指摘した。

10月15日、大阪市大の名誉教授・宮本憲一氏、大阪府大の名誉教授・小林宏至氏が記者会見をし、次の声明を発表しました。この会見には、西谷敏・梶浦恒男両市大名誉教授、三本弘乗元府大教授、森裕之立命館大学教授(市大卒)も同席しました。

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橋下市長の大学自治への介入と府大・市大の拙速な統合を憂慮する 

 

橋下市長の大学自治への介入を憂慮する

  大阪府と大阪市は、10月9日、大阪府立大学と大阪市立大学を統合した新大学を設置・運営する新法人について「新法人基本方針」を発表し、同時に府・市・両大学が策定した「新大学案〜新世代の大学〜大阪モデル」を発表しました。両大学の統合計画を立案してきた大阪府市新大学構想会議(両大学関係者は委員に入っていません)から同日、新大学の「ガバナンス改革について」の提言も出されました。市大・府大統合計画を実行に移す態勢が整ったといえます。しかし、大学自治にかかわる二つの大きな問題があります。

  一つは学長選考のあり方です。新大学では理事長と学長を分離し、理事長は設立団体の長が任命し、学長選考については学外者が多数を占める学長選考会議(学外者が委員長)が行い、「全学意向投票」は廃止するとしています。

  橋下徹大阪市長は、8月9日の記者会見で大阪市大の学長選考における教職員の意向投票について「学長を選ぶのに何の権限もない教職員が一票を投じるなんてふざけたことを言ってきた、まかりならんと突き返した」と、意向投票があたかも不法、不当なものであるかのように攻撃し、制度の見直しを指示していましたが、市長の意向を反映した方針が出されたことになります。

  学長選考における意向投票は、大阪市大の定款及び理事長選考規程に基づいて大学内の意向を調査するためのものであって、何ら不法なものではなく、国立大学でこれを実施している大学も多く、市長の発言は一般市民に誤解を与えかねないきわめて悪意のある発言です。大学が国民から付託された使命を果たすためには、教職員の高度の自発性と深い責任の自覚が不可欠であり、適切な意向投票がそれに寄与することは疑いありません。

  もう一つは、新大学における教授会のあり方です。教授会は、学校教育法で「大学には、重要事項を審議するため、教授会を置かなければならない」と定められています。大学運営の要をなす組織です。ところが橋下市長は10月9日の会見で「人事に教授会がしゃしゃり出るというばかげたやり方は認めない」と強調しました。現在、大阪市大では研究科長は研究科教授会で選ばれていますが、新大学ではこの選出方法をやめ、部局長(研究院長等)の推薦する複数の候補者から学長が選考し、理事長が任命するとしています。また、現在教授会がおこなっている教員人事は、学長のもとに人事委員会を設置し、人事を一元化するとしています。新大学では教授会の人事権が奪われ、大学自治を担う基本組織が弱体化することが懸念されます。

  大阪市は、2016(平成28)年の新大学設立に向け、まず今秋、大阪市大の現「定款」を変更して理事長と学長を分離し、意向投票を廃止した新選考規程によって次期学長選考を実施しようとしています。大阪市大はいま重大な岐路に立たされているといわなければなりません。

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